令和5年8・9月文楽公演 第三部『曽根崎心中』国立劇場

令和5年8・9月文楽公演 第三部『曾根崎心中』国立劇場
国立劇場 小劇場で令和5年8・9月文楽公演 第三部『曽根崎心中』を拝見しました。。近松門左衛門作、1703年竹本座初演、人形浄瑠璃で最も有名な演目といってもよいですが、初見です。

配役
令和5年8・9月文楽公演 第三部『曾根崎心中』国立劇場

生玉社前の段」は正直退屈でしたが、「天満屋の段」からは抜群に良い。錣太夫さんと藤蔵さんのコンビも素晴らしく、詞章が体にすっと沁み渡る。縁の下に徳兵衛を隠す流れが堪りません。遊女の着物の下に隠れるというのは非常に官能的ですが、状況が悲劇的で、見ている方の感情がかき乱される。喉を足首に当てるという演出は凄い、当時こういった所作が当然だったのかはわかりませんが、近松凄いよ。和生さんの使うお初がリアルで気持ち悪いほど、振り返る際の首の回り方、徳兵衛の膝にそっと手を置く所作も生々しい。玉志さんが遣う九平次の傍若無人な下品さも良く、女中お玉の可愛らしさが、少しの清涼剤。脱出シーンは緊迫感あります。

天神森の段」は思ったより長く、なかなか死なない2人ですが、その焦らし方もまた堪りません。25歳と19歳、お初の両親は健在ということなど、ここで今まで知らされていない事実がいくつか知らされるのも憎い。若過ぎる、いや若過ぎるが故か。何故愛する2人が死ななければいけないのか、ちょっと私の思考では考えられず、「早う殺して」というお初の美しさは悪寒が走る。白布を体に巻きつける場面から、さらに感情が高まり、最後徳兵衛がお初の喉を刺す場面では入り込み過ぎて思わず自分が刺されたような衝撃に「グゥー」と声が出てしまい、一気に涙が。

この演目、途中で日を跨がずに1日を描いているため人物の心の動きが非常にわかりやすく、感情が直に伝わる。近松門左衛門の地力をまざまざと見せつけられた素晴らしい『曽根崎心中』でした。もう1回見たい。

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