令和3年12月文楽公演『仮名手本忠臣蔵』国立劇場

令和3年12月文楽公演『仮名手本忠臣蔵』国立劇場
今年最後の文楽鑑賞、国立劇場で『仮名手本忠臣蔵』千秋楽を拝見しました。最近は歌舞伎でも七段目「祇園一力茶屋の場」しか上演されませんので、今回の上演部分、二段目から四段目は拝見するのも始めてで非常に楽しみです。

配役
令和3年12月文楽公演『仮名手本忠臣蔵』国立劇場

まずは二段目「桃井館本蔵松切の段」から、石見国津和野(島根県)藩主、桃井若狭之助の家老加古川本蔵の決断を描く場、そこまで盛り上がる場面ではないですが、後半への理解が深まります。続く三段目「下馬先進物の段」は、足利家の門前で本蔵が高師直に賄賂を渡す場面、歌舞伎の濃い化粧は師直の頭、大舅のイメージなのか。江戸時代に出版された『忠臣蔵穴さがし』に「夜中に往来で進物を地べたに並べるとは粗忽」、と書かれていたという、笑える。真面目か。続く「殿中刃傷の段」、遅れてやってきた塩谷判官が、師直に渡した顔世御前の文に書かれていた和歌「さなきだに 重きが上の 小夜衣 わがつまならぬ つまな重ねそ」を見てブチ切れる師直。南都太夫さんの不気味で下種な笑いもなかなか良い。

休憩挟んで最も見所の四段目「塩谷判官切腹の段」、織太夫さん、燕三さんの素敵なコンビ。切腹の所作も非常に丁寧、緊迫感のある場面でとても良い。由良助がなかなか現れず、ついに腹に刀を突き立てる場面はお腹が痛くなりました。上使の石堂右馬丞と由良助の掛け合いも痺れるな〜。あんまり動かない塩谷判官を遣う吉田蓑二郎も素晴らしかった。赤面の薬師寺に「早々屋敷を明け渡せ」と言われ、ゆっくり屋敷を出て行く家臣たちも良い。「城明渡しの段」は由良助の一人舞台。提灯に書かれた塩谷(浅野)家の家紋「鷹の羽」を切り抜き、形見の刀を見て、仇討ちの決意を固めます。これは続けて後半も見たくなるな。素晴らしい!

場面が飛んで八段目「道行旅路の嫁入」は本蔵の後妻戸無瀬、娘小浪の道行。閨の睦言私語、妄想で子供まで生まれてしまう際どい詞章が楽しい。背景が富士山から琵琶湖の浮御堂へ。良い場面ではあると思うのですが、太夫連中がなんかボロボロだったかも。。。しかし四段目は良かった。桂文珍さんの落語「四段目」を聞いていたこともあり、余計に楽しめた。令和4年2月文楽公演も楽しみにしております!

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