
北千住の「シアター1010」で令和7年5月文楽公演 第二部『義経千本桜』を拝見しました。
配役

「伏見稲荷の段」から。狐を遣う玉助さんが新鮮ですが、直前に食べ過ぎたこともあり爆睡。「渡海屋・大物浦の段」は文楽で見たことがあると思ったら素浄瑠璃と短縮版だけで、ちゃんと見るのは初めてでした。銀平の出は碇を担いで、鎌倉方と偽る入江丹蔵が刀を曲げられることもなく、歌舞伎と随分印象が違い、サクサク進みます。場面もほぼ渡海屋内で進み、登場人物も少ない。それだけに安徳天皇の入水の場面はじっくり、粗末な中でも毛氈の代わりに白布を敷き、傘の代わりに檜扇を頭上に捧げる感動的な場面。和生さんの典侍の局の気品がとても高く、安徳天皇よりも神々しい。義経が止めに来て局も安心したのかも。哀切な錣太夫さんの語りも素晴らしいですが、知盛だけで言えば、もう少し太いお声の方が良いと感じるのは仁左衛門さんのせいかもしれません。最後は玉男さんが汗を流しながら大活躍、地獄の苦悩を語る知盛は凄く大きく見える。最後は船で海上の岩山へ行き、岩山を瀕死の状態で登り、錨を担ぎ海中へ真っ逆さまに落ちていき、足だけ残して幕。
豊竹呂勢太夫さん、豊竹靖太夫さん、鶴澤清治さん、お孫さんの鶴澤寛太郎さんと配役が豪華な「道行初音旅」、賑やかで華やかで眠気も吹き飛ぶ一幕。静御前が扇を後向きに忠信へ投げる「山越え」も決まりました。歌舞伎との見比べも楽しい「義経千本桜」でした。
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