日本橋社会教育会館で「さん喬あわせ鏡~月の巻~」を拝見しました。
前座:「子ほめ」柳亭市助
自分の名を名乗らない前座は初めてかも。勿体無い。
「応挙の幽霊」柳家さん喬
一番大事なのは心、なんてねという、恥ずかしげなマクラから。ずっと聞いてみたかった「応挙の幽霊」。メインは古道具屋と幽霊の酒盛りで、しっとり系の落語ですが、ヨーデル風の「ゆ〜れい〜」、「三途の川でも 棹さしゃ届く なぜに届かぬ わが思い」など幽霊都々逸も楽しい。下げは「明日の丑三つ時」
「因果塚の由来(お若伊之助)」柳家さん喬
休憩無し、着替えのみで次の落語へ。出囃子は「秋の色種 虫の合方」、日本橋石町の生薬屋「栄屋」の一人娘お若、勝五郎が紹介した一中節(江戸浄瑠璃)の若い師匠、伊之助の話。不思議な話ですが、昨日の吉原での出来事も忘れてしまう勝五郎の熱血天然っぷりに救われる。伊之助だけに正体は猪かと思ったのですが、狸だったのか。狸を仕留めるまでが前半で、お若が産んだ双子の話が後半だそうで、いつか聞いてみたいものです。たいして面白くない話ですが、聞かせる話術が素晴らしい。
「宮戸川-笠碁」柳家さん喬
時間が押しているため「宮戸川」で短く締めるのか?それとも滅多にかからない後半もやるのか?と思いきや、まさかの「笠碁」へ。あれは2人の世間話だったのね。客席からざわつきました。意外ですが、さん喬師匠の笠碁は初めて。途中で「あくび指南」のくすぐりも入るのが楽しい。ロビーで販売されていた『柳家さん喬「笑い」の流儀』も購入させていただきましたが、さん喬師匠の「笠碁」の下げは10年くらい前からこうなのか。おそらく友達が他にいないであろう2人の友情が、とっても沁みる。下げは「この一手、待っちゃくれねぇか?」、きっとまた喧嘩するだろうが、喧嘩するほど仲がいい。さん喬師匠の慈愛に溢れる笠碁です。
夏から秋へ移り行く季節に最高の落語会でした。今日も1人で2時間以上!長い!長いのですが、終演後、疲れを全く感じていないのに驚く。さん喬師匠の落語の素晴らしさと感じます。次回も楽しみです。
コメント