三月大歌舞伎 昼の部『菅原伝授手習鑑 寺子屋』『傾城道成寺』『御浜御殿綱豊卿』歌舞伎座

三月大歌舞伎 昼の部『御浜御殿綱豊卿』歌舞伎座

歌舞伎座で「三月大歌舞伎 昼の部」を拝見しました。1本目は『菅原伝授手習鑑 寺子屋』です。

配役
松王丸:尾上菊之助(音羽屋)
武部源蔵:片岡愛之助(松島屋)
戸浪:坂東新悟(大和屋)
涎くり与太郎:中村鷹之資(天王寺屋)
小太郎:中村丑之助(音羽屋)
百姓吾作:市村橘太郎(橘屋)
春藤玄蕃:中村萬太郎(萬屋)
千代:中村梅枝(萬屋)
園生の前:中村東蔵(加賀屋)

菊之助さんの愛之助さんの共演が新鮮、そして鷹之資君の涎くりがチャーミング。丑之助君は、出番も台詞も少ないのに妙に存在感がある。松王丸の序盤の咳き込み具合は本当に調子が悪そうですが、仮病だったことを初めて知った。。。床本まで読んでいながら、いかに台詞が自分の耳に入ってないか反省。この配役の中、東蔵さんの園生の前はちょっと年取り過ぎ。菊之助さんの松王丸は序盤、重厚感ありますが、首実験辺りでは感情を表に出す感じか。演者により色んなやり方があり興味深い寺子屋です。そして体調悪く咳が出るのがどうにも。静かな場面で咳き込まないよう必死で我慢するので舞台に集中できず、ずっと涙目。辛い。

2本目は所作事『傾城道成寺(けいせいどうじょうじ)』。

配役
傾城清川実は清姫の霊:中村雀右衛門(京屋)
白川の安珍実は平維盛:尾上松緑(音羽屋)
難波経胤:大谷廣太郎(明石屋)
真名辺三郎:大谷廣松(明石屋)
童子花王:坂東亀三郎(音羽屋)
童子駒王:尾上眞秀(音羽屋)
僧妙碩:大谷友右衛門(明石屋)
導師尊秀:尾上菊五郎(音羽屋)

傾城清川が清姫の霊、安珍が平維盛という不思議な設定。体調不良につきぼんやり見てしまいましたが、やっぱり菊五郎さんのお声は良い。子役の活躍がもう少し見たかった。

3本目は『元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿(おはまごてんつなとよきょう)』 です。

配役
徳川綱豊卿:片岡仁左衛門(松島屋)
富森助右衛門:松本幸四郎(高麗屋)
中臈お喜世:中村梅枝(萬屋)
中臈お古宇:澤村宗之助(紀伊国屋)
おいぬ某:小川大晴(萬屋)
津久井九太夫:澤村由次郎(紀伊国屋)
上臈浦尾:市村萬次郎(橘屋)
御祐筆江島:片岡孝太郎(松島屋)
新井勘解由:中村歌六(播磨屋)

2年前に梅玉さんの綱豊卿で拝見しましたが、特に後半はテンポがゆっくり、客席も暗くなるため、集中力を要する演目。静かに進むため、咳を我慢するのに必死で集中力全くなく無念。幕見でもう一度拝見しようと思います。

そんな訳で幕見で再見しましたが素晴らしい!台詞を理解できないと完全に置いていかれるので、集中力大事。舞台上の話し手よりも聞き手の表情が重要、今回は下手で拝見したので、感情がストレートな助右衛門の表情がよく見えて快適。幸四郎さんも以前よりも伸び伸び演じられている様子。後半、敷居をなかなか越えない助右衛門やキレた助右衛門を必死で止めるお喜世の場面で会場から笑いが起こるが、芝居を理解していたら笑える場面ではない。緩急自在で余裕たっぷりの綱豊よりも、助右衛門に感情移入してしまうのは仕方無し。ただただストレートに主を思う気持ちにグッときます。そして「能舞台の背面の場」、能楽の囃子と助右衛門の緊張感との調和が見事、そして綱豊の身のこなしは80歳の動きではない!きっと若く見える動作を研究されているのでしょう。『望月』の白頭の能装束に桜が舞い散る美しさは4階席からでも惚れ惚れ。前回と違いあっという間の90分でした。仁左衛門さん恐るべし。

三月大歌舞伎 昼の部『傾城道成寺』歌舞伎座
三月大歌舞伎 昼の部『菅原伝授手習鑑 寺子屋』歌舞伎座

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