秀山祭九月大歌舞伎 昼の部『菅原伝授手習鑑 Aプロ』歌舞伎座

歌舞伎座で秀山祭九月大歌舞伎 昼の部『菅原伝授手習鑑 Aプロ』を拝見しました。

序幕『加茂堤(かもづつみ)
桜丸:中村歌昇(播磨屋)
八重:坂東新悟(大和屋)
苅屋姫:中村左近(音羽屋)
斎世親王:中村米吉(播磨屋)
三善清行:坂東亀蔵(音羽屋)

以前『加茂堤』を歌舞伎で拝見したのが2020年の「二月大歌舞伎 昼の部」でしたが、最近な気がするのは年のせいか。その時も米吉さんは斎世親王でしたが、断然凛々しく良いお顔になっている。意外にニンが合っている優しい歌昇さんの桜丸。花道から逐電する時の刈谷姫、左近君の表情が素敵。

筆法伝授
菅丞相:片岡仁左衛門(松嶋屋)
武部源蔵:松本幸四郎(高麗屋)
戸浪:中村時蔵(萬屋)
梅王丸:中村橋之助(成駒屋)
菅秀才:中村秀乃介(播磨屋)
荒島主税:中村吉之丞(播磨屋)
左中弁希世:市村橘太郎(橘屋)
腰元勝野:澤村宗之助(紀伊國屋)
三善清行:坂東亀蔵(音羽屋)
局水無瀬:上村吉弥(美吉屋)
園生の前:中村雀右衛門(京屋)

役者が皆良い『筆法伝授』、心が邪念ばかりの希世役の橘太郎さんと腰元勝野役の宗之助さんの美しさが緩衝材、希世に共感してしまう自分。戸浪や源蔵があそこまで恐縮するのも納得の仁左衛門さんの菅丞相の寛容で圧倒的な圧力が凄い。菅丞相の冠が落ちる場面、その後、宮中に引かれる場面も深い思考が感じれます。

道明寺(どうみょうじ)
菅丞相:片岡仁左衛門(松嶋屋)
立田の前:片岡孝太郎(松嶋屋)
宿禰太郎:中村松緑(音羽屋)
判官代輝国:八代目尾上菊五郎
苅屋姫:中村左近(音羽屋)
贋迎い弥藤次:片岡松之助(緑屋)
奴宅内:中村芝翫(成駒屋)
土師兵衛:中村歌六(播磨屋)
覚寿:中村魁春(加賀屋)

続いても役者が皆良い『道明寺』ですが女方の3人が素晴らしい。宿禰太郎役の松緑さんの弾けっぷりが楽しいがこの場面ではやや浮いている感じも、芝翫さんももう少し弾けて欲しかったが。魁春さんの覚寿は初役、やはり弱い老人は色々失い、一番傷ついているように思えますが表面にはあまり見せない、やや不気味にも演技が魁春さんらしくて素敵。孝太郎さんも悲哀さ爆裂の左近君も動きに無駄がなく美しい。最後の菅丞相と刈谷姫の別れの場面、刈谷姫の自分が原因で流されてしまう悲しみに対して、思いが深過ぎる菅丞相。花道付近で初めて見せるほのかで人間的な表情が心を打ちます。5年前と比べると若手は当然ながら、ベテラン年長者すら成長しているのが素晴らしい『菅原伝授手習鑑』でした。

   
   

   
   
   

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