ミシュラン三ツ星の日本料理店「神楽坂 石かわ」系列の「蓮 三四七」、銀座に移転してすぐ以来、約2年半振りのお伺いとなりました。カウンターも少し改装され、三科親方と客との距離感(実際の距離ではない)がより近くなるようになっていました。地下1階、静謐で心地良い店内です。
「タラバ蟹、餅米の柚子碗」
最後は柚子をこそげ落としながら、いただきます。う〜ん、美味し〜。素晴らしい料理からのスタート。日本酒はな、なんと!高級和食店ではほぼ見かけない「神亀 純米」を置いていらっしゃる!もちろん熱燗で。素晴らしい。
「平目、縮みほうれん草」
大分県豊後水道のもの、切り方も抜群で、食感と旨味のバランスが良い、ほうれん草の付け合わせ、醤油でなく「あん肝ポン酢」の薬味も気が利いている。そして神亀、ピンの料理を大好きな日本酒で食べられる幸せ。
「氷見寒鰤」
ボリュームも凄いぞ。炙りと漬けで。旨いです。
「唐墨、海老芋の白味噌椀」
こちらも素晴らしい、今まで食べた白味噌椀の中で一番旨かった。甘過ぎることなく、シンプルな鰹と昆布出汁との調和が素晴らしい、大胆に乗せられた柔らかい唐墨が、出汁と交わることにより辛味が加わり、素敵な味変となります。酒飲みの椀物とも言えますね。絶品。
「大分県豊後水道の虎河豚」
今日のメイン食材。豊後水道の虎河豚、絶対美味しいヤツ。サイズは2.5kgほどだそう。
ランチのお伺いで、まさかの貸切りだったため、三科親方を独占。
マンツーマンの料理教室、こんな幸せな事はなかなかありません。親方は現在37歳とお若いですが、見るからに朗らかで、裏表の無いお人柄、とても良い雰囲気の中で食事をいただけます。こういった大変な時期にも関わらず前向きな言葉が多いのも嬉しくなりますね。
「合鴨の炭火焼き、九条葱」
ジビエのような力強さはありませんが、コースの途中の1品としては流れが崩れません。三科親方が「僕の料理はシンプルなんで」と何度もおっしゃっていましたが、この味わいは丁寧な仕込み、下拵えの賜物でしょう。
「栄養ドリンク」
試しにどうぞと提供されたこちらは、なんと虎河豚の白子を使ったドリンク風の仕上げ。というかこれ、ポン酢、塩なども少しだけ入っていますが、ほぼ白子!お客様の紳士曰く「昔はこれで栄養つけた」そうです。なかなかお目にかかれない、永遠に記憶に残りそうな一品、一気に飲み下します。ドロッとしていますが滑らかで喉越しの良い白子と皮の感触がアクセントとなっています。生卵を飲む感覚の最高級版といったところでしょうか。今日の12時から24時まで食べて飲み続けても次の日体調良好だったのはこれのお陰かもしれません。
「白子、空豆揚げ餅」
ドリンクも良いですが、やはり焼き白子。日本酒は続いて大好きな「旭菊 大地」に。空豆の揚げ餅は皮を破ると、素材の香りが吹き抜けます。新鮮な組み合わせ、白子も濃厚で旨いです。
「虎河豚しゃぶしゃぶ」
腹と尾ひれの間の砂ずり部分の「うぐいす」など珍しい部位もいただきました。
「虎河豚カマ」
ゼラチンたっぷりのカマの部分が最高。何も付けなくても出汁の味わいが沁みていて旨い。「美味しい部分なので、何とかしてお客様に食べて欲しくて色々言い方とか出し方とか工夫してます」という言葉も親方のお人柄が出ていて素敵。啓蒙大事ですね。
「河豚出汁椀、聖護院大根」
しゃぶしゃぶ自体は河豚の最高の食べ方とは思わないですが、この滋味で趣深いスープのためだと言っても過言ではないでしょう。身と皮から出た美味しい河豚出汁のスープ。広大な海のような広がりと奥行きを感じる味わいに包まれる法悦。思わず泣きそうになってしまいました。1対1でなければこっそり泣いていたかもしれません。素晴らしい。
「白飯」
炊き込みではなく白飯、新潟県で行われている稲刈りの催しの時に食べた、地元のお母ちゃんの美味しい塩むすびの記憶が強く残っていらっしゃるそうです。分かる〜。土鍋はお馴染み信楽雲井窯、中川一辺陶氏のもの。
「唐墨と雑魚ご飯」
ご飯のお供も色々選べるようになっていました。甘えて色々いただいてしまいました。ご飯が美味しいので、もはや何でも美味しい。
「金目鯛のフライ」
「和牛と蕗の薹の煮込み」
「河豚雑炊」
あかん、やっぱり美味し過ぎるのはこれ。ネギも卵も入れずに、河豚の味わいをストレートに。最高です。
「カレーライス」
最後はお馴染みのカレーで、魚介と野菜の出汁が効いた和食店の絶品カレーです。美味。土鍋で少しだけ米を炊くと美味しくできないことや、足りなかったら恐怖という理由からたっぷり炊いていただけるのも凄く嬉しいです。少しだけ残った分はお握りに。
「蕨餅、きな粉ミルク」
シア後は美味しい蕨餅で。煎茶と緑茶?をブレンドとしたお茶もまったりとした特徴的なお味でした。
終了まで2時間半ほど、限りなく特別感のある大変素晴らしい、全てが噛み合った感のあるランチタイムでした。こりゃ、また行きたくなります。料理は、間違いなく料理人の性質を表すもの、とても感銘を受けました。まだまだお若いだけに、今後がとても楽しみな和食店「蓮 三四七」です。ごちそうさまでした。
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