東京で最も高級な日本料理店の1つ2018年19月に神戸から東京神楽坂に移転した「紀茂登」にお伺い。入店がややこしくと、インターホンで第一の扉を開けてもらい、暗証番号で第二の扉をあけるという厳重管理。洞窟っぽい店内も異色ですし、置かれた調度品も明らかに超高級品!
「蒸し鮑、スッポンの煮こごり」
おそらく下に枝豆のピュレ。かなり巨大な鮑は、旨味が凝縮され、それだけで美味しいに決まっていますが、スッポンが下支えし、奥深い。香り気高く旨い。
「唐墨とイクラご飯」
某鮨屋の親方が絶賛していた生唐墨ご飯、ねっとりとした唐墨は柔らかい塩加減が絶妙。個人的には卵で重複してしまうイクラは必要ないかも。そして熱燗を注文したのですが、なんと熱燗はないとのこと。。。「神亀」も置いているのに何故!?
「甘鯛、芋茎の椀」
この出汁もオリジナリティあります。シンプルに鰹節と昆布と思われますが、薄味で繊細にして鮮烈、余韻が続く味わいが凄い。今まで食べた椀出汁の中では最高峰。鰹や鮪節を前面に出すとわかりやすく美味しいですが、昆布を前面に出しているのが枯淡。そして甘鯛は普通ですが、芋茎の仕上げが素晴らしい。出汁をたっぷり吸った芋茎は甘鯛より断然好き。
「鱧、車海老」
どちらもちょっとだけ火入れで生っぽい仕上げ。醤油とす多ち塩でいただきます。骨が少し気になるものの鱧が絶品。鱧は素材の味があまり感じられないことが多いですがこれは濃厚。
「鰹のたたき」
見るだけで鉄分の味を感じる美しい鰹。上が背側、下が腹側、玉ねぎ醤油と辛子で。見た目にも美しい刺身、感動はありませんが、最上の素材を使用されているのはよくわかります。
「伊勢海老と黄ニラ」
中華料理っぽい雰囲気、これも神戸だからか?味噌の味が濃厚ですが、車海老と火入れの方向性が同じで微妙。
「焼無花果」
口直し、焼いただけです。美味。
「鰻炭焼き、蓮根唐揚げ」
天草産、この脂の感じは多分天然。地焼きですが、これも火入れがユニーク。サクッとした食感に、脂の柔らかさがまとわりつく感じ。
「かぶら煮」
水と昆布のみで仕上げています。嚥下した後に感じる苦味が心地良し。
「白飯」
水分たっぷりで好みです。白菜の浅漬けをお供に。
「シャトーブリアン」
基本料理の主素材以外の説明しかないのですが、こちらはそれも無し。産地をお伺いすると兵庫県と随分ざっくりなお答え。塩漬けの生胡椒が美味しい。
「鮑出汁の茶漬け」
これも、美味しいに決まっています。
「ヨーグルトと生クリームのアイス」
これ、今日一番びっくりしたかも。アイスとの説明ですが、そこまで冷たくなく口溶け、キレの良さが素晴らしい。
「焼わらび餅」
一口で食べたら厚過ぎて危険を感じましたが、これも素晴らしい。
「生姜の金平糖」
最後は抹茶と金平糖で。
無精髭の木本親方は、がたいが良く料理人というよりは格闘家のよう。動きに一切の無駄がなく見ていて気持ちが良いです。日本料理で個性を出すのは難しいと思うのですが、火入れの仕方、中間的な仕上げ方など類稀なるオリジナリティを感じます。料理に関しては椀など絶品なものもありましたが、そうでもないものもあり、この値段だと隙の全くない構成を期待してしまいますので、サービス料も追加される価格に対する説得力という点ではかなり疑問。しかしそれでも半年先まで予約が埋まっているとは驚愕。これでいいのか日本料理。とはいえ名店の味を一度は体験できて良かったです。ごちそうさまでした。
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