珍しく代官山で食事、フレンチレストラン「レクテ」にお伺いしました。牛肉では今まで一番美味しかったのはステーキ店「イデア銀座」の炉竃(ろがま)で焼いたもの。そんな話から最近「竃」を入れたフレンチがあるということで常連さんに連れていっていただきました。
「レクテ竈コース」は耐火性に優れた伝統的石材である大谷石で組んだ特製竈で、もちろん紀州備長炭を使用し焼き上げた獣肉が食べられるコース。お話を聞けば日本橋の炉竃ステーキ店「ウェスタ」と同系列だそうです。これは期待できそう!
「アペリティフ」
秋を感じさせる装飾も良いです。北海道の溶けるチーズも美味しく、温度、雰囲気共に温かみのあるアミューズです。
「厚岸産 牡蠣 ポロ葱」
北海道南東部、釧路の少し東側、厚岸産牡蠣は身も大きい。酸味が少し口に残るのが気になりましたが、ポロ葱と一緒に食べて甘み増幅。
「庄司農場 はるきらり ライ麦」
パンも名物だそうです。皮はパリパリ、中はモチモチフワフワでとても美味しいライ麦パンでした。
「十勝産 樋熊 3歳雄」
フランスのロールキャベツ「シューファルシ」、色んなジビエのコンソメスープで。熊の足のお肉だそうです。クセは全くなく、どちらかと言えばあっさり、キャベツの仄かな甘みも効いていて美味。遠く離れた日本とフランスで似た料理があるのも興味深いです。
「今治 藤本さんの真鯛」
私は初めて知りましたが今治の漁師藤本純一氏は神経〆の高い技術を持つカリスマだそうです。ほんのりオレンジの香り。シャントレル(ジロール、あんず茸)、野菜たっぷりが嬉しいです。
「白糠産 蝦夷鹿 3歳雌 竃焼き」
胡椒風味のポワブラードソース、手前はピーナッツを潰したもの。鹿は雄より雌の方が美味しいのだそうですが、確かに絶品。竃パワーか旨味がギュッと閉じ込められている感じ。奥のリンゴとナッツの付け合せも素敵。
「スコットランド産雷鳥」
1ヶ月ほど熟成されたもの。熟成香にねっとりした食感、雷鳥特有の苦味のアクセントで素晴らしい仕上がり。飛ぶ系ジビエの中でも個性的な味わいの雷鳥、やっぱり好きです。
「モンブラン 甘草のアイス」
栗の入ったクリームの下はメレンゲ、女性パティシエらしいほんわかしたビジュアル。
「小菓子」
キャラメル、バニラのマカロン、カルダモンショコラのカヌレ。コーヒー、紅茶は3種から選べたのでグァテマラのエル・インヘルト農園「レセルバ・デ・ラ・フィンカ」をいただきました。香りも良くバランスの良い美味しいコーヒーでした。
食後は佐々木直歩シェフに厨房最奥に厳かに設置された竃を見せていただきました。カッコ良いです!系列店が既にあるだけに、使い方も実績があるのは強い。肉料理に対して、魚料理のインパクトが弱い気もしましたが、フランス料理と上手く融合できており、シェフの技術の高さを感じました。竃で鰻とか焼けないんでしょうか。
この味とボリューム、サービスも料理人も数名いらっしゃてこの価格ですから、フレンチって良心的だなと思います。今は和食やイノベーティブフュージョンと呼ばれるジャンルが流行ですが、そう遠くないうちにフレンチの時代がまたやってくると思っています。先日修善寺の「あさば旅館」でいただいたとても美味しかった天城軍鶏も使い始めてそうで、またいただきにお伺いしたい素敵なレストランでした。
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