前座:春風亭朝七「たらちね」
市楽さんの「今日出演の落語家の中で一番落ち着いている」という評の如く、とても端正なお顔立ちに端正な語り口。定番のバージョンとちょっと内容が違っていたのも面白い。「今朝土風激しゅうして、小砂眼入し歩行為り難し」の返しに母親の戒名で答えるのは笑った。お清が自分の名前を語る「自らことの姓名は・・・」は随分違い、下げは「お経になっちまった」。この最後の長ゼリフの応酬は何度聞いても関心してしまいます。
柳亭市楽「天狗裁き」
柳亭市馬師匠のお弟子さん、天狗裁きは桂米朝師匠のCDで聞いて知っていた演目。上方と江戸の違いはあれど、忠実に演じられていらっしゃいました。最後に八五郎が天狗に連れて行かれるのは鞍馬山ではなく高尾山、高尾山も天狗が有名なんですね。誠実なお人柄が伝わってくる落語でしたね。来年3月真打に昇進されるそう。おめでとうございます!
柳家ほたる「居酒屋」
初めて知った落語家さん。落語映画『の・ようなもの』のタイトルの元ともなっている「居酒屋」は大変好きな演目ですが、生で聞くのは初めてで嬉しい!三遊亭金馬(三代目)師匠の「居酒屋」ばかり聞いておりましたので、現代風のアレンジが新鮮でした。どじょう汁からの平仮名の濁りのくだりは何度聞いても笑える。野田の酸ぱ口の日本酒「三位(酸味)一体」、タコのお葬式に呼んでもらって箒で隅を掃くなどのくすぐり、下げの「ばんこうのお鍋はできないんです。おかまですから」も面白かった。「できますものは、つゆはしらたらこぶあんこうのようなもの、ぶりにおいもにすだこでございます。エーイ。」を是非聞きたかったのに端折られていたのは残念ですが、柳家ほたるさんのほんわかとした癒し系キャラも良く、とても楽しめました。好印象だと思ったら何と私の敬愛する柳家権太楼師匠のお弟子さん!皿うどんに酢を掛けて食べるのが一門の伝統なのだとか。そして今月真打に昇進して「柳家権之助」になるそう。権之助の由来もなかなか興味深いですよ!おめでとうございます!
柳家花緑「明烏」
大好きな柳家小さん(五代目)師匠の孫であり弟子でもあり、22歳で真打に昇進したサラブレット。2つ目時代の名前が「小緑(ころく)」で「緑」の一字は、小さん師匠と親交があった二代目尾上松緑からもらったという話をされており嬉しくなります。「明烏」は、超堅物の若旦那の時次郎(ぼんぼんの花緑師匠とオーバーラップ?)が父親に騙されて吉原へ連れて行かれる大定番の演目ですが、流石の花緑の貫禄!父親に頼まれた源兵衛と多助が吉原をお稲荷様と偽って何とか連れて行こうとするのですが、あまり人を騙すのが得意でない2人の必死さが伝わる。御神木、黒鳥居、お巫女頭などの変換も面白く、甘納豆を食べる源兵衛の桂文楽 (8代目)の物真似も最高でした。花緑師匠の落語は初めて拝聴しましたが、よく動くお顔の表情、声の大きさ、間の取り方も素晴らしくたくさん笑わせていただきました。満足。落語っていいですね。
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