演出の様々な形 狂言『鐘の音』 能『橋弁慶』国立能楽堂

見比べたかったのですが、11月の公演は行けず。。。配役は以下。

狂言『鐘の音(かねのね)』野村万蔵(和泉流)
親子共演。金で熨斗つけした刀を息子に贈りたい主に「金の値(かねのね)」を聞いてこいと言われた太郎冠者は「鐘の音」と聞き間違え、鎌倉の寺を巡ることに。巡った順に寿福寺、円覚寺、極楽寺(浄妙寺)、建長寺の4寺、位置関係は以下ですが、けっこう歩いてますね。

寿福寺の音はベーシックで「じゃーんもーんもーん」、円覚寺は薄く「ぱーん」、極楽寺は割れ鐘のような「じゃがじゃがじゃが」、建長寺は綺麗な「こーんもーんもーん」、初めての鎌倉観光もできてウキウキな太郎冠者は見ているだけでも幸福感有りで楽しい。意気揚々と帰宅し主に建長寺が一番!と告げる2人のちんぷんかんぷんなやり取りが楽しい。主に怒られ暇を言い渡されますが、お寺にまつわる「涅槃経」の諸行無常、是生滅法、生滅滅己、寂滅為楽を元ネタとした即興の譜と舞を披露し、許してもらいますが、終わり方が何とも言えない狂言ならではのぶつ切りの空気感。とてもわかりやすい演目で笑わせていただきました。

能『橋弁慶 替装束・扇之型』金剛永謹(金剛流)
「替装束」により後半の弁慶は長霊癋見の面を付けます。かなり激しい立ち回りなので、面を付けるのはとても大変だと想像できます。牛若丸は12、3歳という設定ですが、化け物的で無敵な強さです。牛若丸を演じた廣田明幸(ひろたはるゆき)君は能楽師、廣田幸稔さんのお孫ちゃんだそう。年齢も丁度12歳くらいでぴったりのお役。こんなに子方の台詞のある演目を初めて拝見しましたが、節はあるものの、わりと棒読み感。歌舞伎の子役の話方とちょっと似てて、やっぱり能楽から来ているのでしょうか。扇之型により牛若丸が弁慶に奥義を投げる所作が加わるのですが、なんと橋掛りの先にあるシテ柱に命中。う〜ん、しょうがない!その後の闘いにもちょっと影響したかも。子方が出ることにより弁慶の大きさが際立ち、それを軽々退ける牛若の対比が素敵。時間も50分ほどと短く、とてもわかりやすい演目でした。

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