令和4年2月文楽公演 第二部『加賀見山旧錦絵』国立劇場

令和4年2月文楽公演 第二部『加賀見山旧錦絵』国立劇場
国立劇場 小劇場で令和4年2月文楽公演 第二部『加賀見山旧錦絵 (かがみやまこきょうのにしきえ)』を拝見しました。昨年歌舞伎座で後日譚『加賀見山再岩藤(かがみやまごにちのいわふじ)』を拝見しているので、理解が深まります。

配役
令和4年2月文楽公演 第二部『加賀見山旧錦絵』国立劇場

まずは「草履打の段」から。祭囃子に紅白の幕、この段は各登場人物を各太夫が担当、咲太夫さんのこの感じは初めてかも。岩藤の厭らしく、ねちっこい感じが出ていて素晴らしい。最初から嫌いでしたが、物語が進むほどにどんどん嫌いになっていきます。人間国宝の咲太夫さんが出ているためか、周りも完璧で、尾上の織太夫さん、善六・腰元の靖太夫さん、三味線は燕三さんと皆さん素敵。人形では責める岩藤より、和夫さんが遣う尾上の耐える演技が良かったな〜。色々な気持ちが綯い混ぜになった尾上の心情が伝わります。

弾正と岩藤の悪巧みが描かれる「廊下の段」、腰元たちの賑やかな話から、再び岩藤の横暴。猫撫で声が本当にいらつくし怖過ぎ、どう育てられたらこうなっちゃうのか知りたいものです。お初ちゃん頑張れ。緊張感が凄い「足利家長局の段」、甲斐甲斐しく尾上の世話をするお初、尾上を好いているのがよくわかる。上手側の尾上が両親への手紙をしたため、下手側でお初が尾上のための薬を煎じる。団扇が折れ、扇も壊れる不吉。千歳太夫さんの情感たっぷりの語りも良かったな。館の外に出たお初、さらに町人の話、烏の鳴き声、どちらも不吉。館に戻り、すでに事切れた尾上を見つけてからのお初の激情が凄い。三方を押し潰し、藤が活けてあった竹筒も真っ二つ。一見不自然な、激しい動きの中にも細かやさを感じさせる勘十郎さんが素晴らしい。最初は初々しかったお初の変化、成長は極端ですが、不自然さはありません。

最後の「奥庭の段」では、岩藤との激しい立ち回り、傘を使うのも良い。最後は安田庄司が表れ二代目尾上を襲名して目出度し。岩藤に対して腹が立てば立つほど、お初を応援する気持ちが強くなりますので、最初の咲太夫さんのインパクトが聞いています。優しいお初の主人への思いに胸を打たれました。素晴らしい。

5月の文楽公演も楽しみです!

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