夜の映画たち『赤坂の姉妹より 夜の肌(1960年 監督:川島雄三)』神保町シアター


久しぶりに神保町シアターで昭和の映画を拝見しました。大好きな淡島千景さん、新珠三千代さんの共演ということで、とても楽しみです。

配役
鳴海夏生:淡島千景
鳴海秋江:新珠三千代
鳴海冬子:川口知子
植谷喜久三:伊藤雄之助
阿久井譲二:田崎潤
田辺潤平:フランキー堺
西長九造:松村達雄
中平萄三:三橋達也
赤木里枝:久慈あさみ
吉川善人:中村是好
吉川おきん:菅井きん

劇中にチェーホフの「三人姉妹」が出てきますが、夏生、秋江、冬子の三人姉妹の映画。季節がそれぞれのキャラクターを暗示しているようです。新珠三千代とフランキー堺の車の練習シーンなど最初はコメディかと思ったら、だんだんシリアスな内容に。長野から出てきた三女、冬子を演じた川口知子さんは初めて認識しましたが、素朴で可愛らしい方ですね。夏生の経営する「まごころ」、店名のセンスがストレート過ぎて微妙ですが、赤坂の料亭「照井」まで手にする勢い。フランキー堺を追ってブラジルに旅立つ秋江、幸薄な役が似合う新珠三千代さんですが、これは結果が絶望的なのがわかって痛々しい。愛よりも姉への反抗か。冬子も密かに恋心を抱いていたヒラリーこと中平が、夏生と関係があったことを知って北海道へ逃走、そして炭鉱ストで怪我をしてしまう。最後は冬子の涙、国会議事堂をバックにした赤坂の街で終。結局はほとんどの男性登場人物を関係を持ってのし上がった夏生が一番まともなのかもしれません。

物語自体はいまいちですが、脂ぎった伊藤雄之助さんのカロリー過多な演技、三人姉妹の美しさなど楽しめますが、印象的なのは3つ、途中の淡島千景さんと新珠三千代さんの大喧嘩シーン、新玉三千代さんがラーメンを貪るシーン、総天然色で見られる当時の赤坂の街並み、日枝神社が素晴らしい。「私は全力を尽くした。できるものなら、もっとうまくやってみるといい」、チェーホフの「三人姉妹」も舞台で見てみたくなりました。

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