寄席「春風亭ぴっかり☆改メ蝶花楼桃花 壽 真打昇進披露興行」鈴本演芸場

「3月下席 夜の部 壽 真打昇進披露興行」鈴本演芸場
鈴本演芸場で「3月下席 夜の部 壽 真打昇進披露興行」を拝見しました。初めて聞きましたが「大初日」という言葉があるんですね。大初日!午前中の「東京グランド花月」もいつもの寄席と客層が全く違い、空気が綺麗過ぎて、少し呼吸困難でしたが、こちらもトリが蝶花楼桃花さんということで、9割男性客。例えばナイツの独演会だって男性客が大半なのだが、それとは違う高湿感、熱?アロマ?が凄いな〜。

「花色木綿」三遊亭伊織
「太神楽曲芸」鏡味仙三郎社中、鏡味仙成・仙志郎
「紙入れ」五明楼玉の輔
ちょくちょく拝見していますが、この方も小朝師匠のお弟子さんだったのか。いつも通りの皮肉めいたマクラから定番の落語へ。新吉の逃げ方が面白い。下げは「まぬけな男だ、そこまでは気が付くめぇ」

「長短」古今亭文菊
いつ見ても気取ってるな〜。生まれ持った品は隠しようがないよね。文菊さんから品と気取りを取ったら何も残らないかもしれないと思わせる、もう存在自体が面白いですが、ゴリゴリの古典落語。気長な長さんと短気な短七の対比、特に長さんの描写が難しいと思うのですが流石です。あれだけ表情と動作だけで間をたっぷり取れるのは凄いな。文菊さん大好き、独演会行ってみたいよ〜。下げは「ほらみろそんなに怒るじゃねぇか、だから教えねぇ方が良かった」

「漫才」ホンキートンク
「志ん生小さん小噺」鈴々舎馬風
自宅の池で金魚を釣っている志ん生師匠は想像するだけでほっこり、下総での小さん師匠とのヌード劇場での思い出話も爆笑。脳梗塞?もう高速?下げもばっちり。

「那須与一 扇の的」春風亭小朝
講談でもお馴染みの演目。お硬い話ですが、この時代に大丈夫かと心配になる下ネタを交えながら。こんなの初めて。大谷翔平さんの名前の由来は勉強になりました。
「お父さんのハンディ」三遊亭圓歌
師匠にもらったダイヤが散りばめられた時計が6時43分で止まっているという話が面白い。息子の合格祈念のため1年前からゴルフ断ちをしているゴルフ大好きお父さんの話。猫の名前もミケからキャディーに。相変わらずの駄洒落満載の下らなさですが、面白い。下げは「小金井一発で入った!?たかし!ホールインワンだ!」

「浮世節」立花家橘之助
江戸端唄「三国富士節」、浮世節「たぬき」、小気味良さが素敵。
「町内の若い衆」古今亭菊之丞
「真打昇進披露口上」
上手から市馬師匠、馬風師匠、小朝師匠、桃花師匠、圓歌師匠、玉の輔師匠。最初の拍手が長い!前座名「ぽっぽ」は入門日の11月11日が世界平和記念日だったから、 二つ目時代の「ぴっかり☆」は昇進日の11月1日が灯台記念日だったからなのか。馬風師匠曰く、小朝師匠は奥様はともかく、お弟子さんのご教育が素晴らしいのだとか。ちなみに興行の初日は嘘か誠かジャンケンで勝ち取ったそう。小朝師匠のオーラソーマの話からお二人とも涙顔に。色々思うところはありましたがっ!良い披露口上でした。

「動物ものまね」江戸家小猫
持ち時間が5分になってしまったため手早く、初春の鶯、イヌ、アシカ、シマウマ。
「蝦蟇の油」柳亭市馬
ゴリゴリの古典、ほぼほぼ忠実に、巧いな〜。思わず落語でうっとりしてしまいました。
「紙切り」林家楽一
正楽師匠の代演、ずっと寄席休演してる正楽師匠大丈夫、心配。横綱の土俵入り、蝶花楼桃花師匠、桃と蝶と桃花師匠、三番叟、お目出度い。
「紙屑屋」春風亭ぴっかり☆改メ蝶花楼桃花
後ろ幕はのんちゃん作の似顔絵が描かれたもの。仲良いんですね。名前が特殊なためチラシなどでも目に付くのですが、初めて拝見する春風亭ぴっかり☆改メ蝶花楼桃花さん、以前と変わったという髪型に決意が感じられます。幕開けからガッツポーズで落語家には珍しい、とても明るい雰囲気、思ったより小柄ですが、手が大きい(指が長い)のが良いですね。この明るさに夏の虫のように惹きつけられるのか。

やや長めのお上さんいじりから紙屑屋本編へ、都々逸の件は仲間の柳家風柳さんを出す優しさ。三味線は自分で演奏できるのは女性落語家の強みでしょうか。三味線の調弦が外れて焦りますが、なんとか無事に。熊本民謡の「おてもやん」から新内節の「梅雨衣酔月情話」、さらに歌舞伎の「伊達娘恋緋鹿子 櫓のお七」の人形振りへ。ネタおろしということで話芸の部分はけっこう怪しげでしたが、他部分との合わせ技で十分楽しめる内容に仕上がっていました。大初日での挑戦が素晴らしい。下げは「気が違ったのかい!?」「いいえ、屑を寄り違えました」

いつもと少し違う浮き足立った雰囲気の賑々しい「真打昇進披露興行」はやっぱり良いですね。この興行も国立演芸場辺りでもう一度お伺いしたいです。

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