寄席「令和4年6月上席『任侠流れの豚次伝』連続公演」池袋演芸場

池袋演芸場で「令和4年6月上席」を拝見しました。三遊亭白鳥プロデュース「任侠流れの豚次伝」連続公演、10日間連続で違う噺家が話を繋げて行くという楽しい趣向です。今日は出演者が濃い。余裕で入れるだろうと思ったのですが、念のため40分前に到着すると80人近い列が出来ておりびっくり。最後は立見も大勢で盛況です。

前座:「手紙無筆」春風亭貫いち
「サザエさん?」三遊亭青森
白鳥師匠のお弟子さんか、納得。落語というより演説、落語中な八百長の客のヤジで喧嘩をしていみたいという不思議な話、二つ目に昇進したばかりの扇太君への無茶振りが酷くて爆笑、下げは「時間が来ました、お後がよろしいようで」

「金明竹」入船亭扇太
「漫才」ホンキートンク
「こうもりの恩返し」蝶花楼桃花
髪型を変えてから、初めてぺぺ桜井さんに「可愛い」と言われてテンション爆上がり、社会人落語家の微笑亭さん太が、春風亭小朝のために書き下ろした新作落語だそう。日の出屋という居酒屋を営んでいる店主が、怪我をした蝙蝠を助けたら、実はトランシルヴァニアに帰る途中の吸血鬼あおいちゃんだったというお話。にんにくって「畑のドリアン」って呼ばれてるのね。桃花師匠のキャラが生きたチャーミングな落語でした。下げは「これが本当の雨降って血固まる」

「長島の満月 序」林家彦いち
会議で「雲の上を歩ける物語」を支持したら、円丈師匠に「雲の上は歩けないよ!」と窘められたとか、白鳥師匠が「部屋とYシャツと私」を「シャツとTシャツとYシャツ」と言い間違えていたという実話が楽しい。小学生時代に暮らしていた鹿児島県長島(けっこう大きい島なのね)のエピソードが世間では共感を得られないという話。記憶のシャボン玉、信号機の話、共感は得られなくても楽しいです。

「ギター漫談」ぺぺ桜井
「お盆(巣鴨の狐)」柳家一琴
初めて聞く古典落語、小三治師匠のお弟子さん、二つ目時代の名前が横目家助平!堅実で面白い。下げは「これから渡したいものがあるから、大きなお盆貸して下さい」

「アクアの男」柳家小ゑん
お馴染みのマクラから、三三師匠をスケべな国語教師、彦いち師匠をさるかに合戦の臼って。小さん師匠が携帯を使い始めた時、初めて電話を掛けて来た馬風師匠に「よく俺のいる場所がわかったな」と言ったという話は俺のものだーの絶叫が楽しい。水族館オタクの内海鯛助がディープマリンショーに出演しているアクアガール水田さんを好きになってしまう切ない恋の話、小ゑん師匠の本格的なおたくの描写が最高に気持ち悪く、モンガラカワハギ、シマアジ、ヒラメの話も面白い。男が色々勘違いした挙句、最後は半魚人と人魚で品川心中に。

「紙切り」林家楽一
横綱の土俵入り、象とパンダ、もぐらと豚。「もぐら」の黙殺に爆笑。
「『任侠流れの豚次伝』これまでのあらすじ」三遊亭白鳥
原作者によるグダグダな解説、自作の見台が格好良く、二楽さんに切ってもらったキャラクターの作品が可愛い。曰く今回の部分が一番難しいとのこと。

三遊亭白鳥作『任侠流れの豚次伝』より「悲恋かみなり山」柳家三三
登場するのは豚の豚次、アライグマの荒井オスカル、牛の蹄の牛太郎、白狐のおコン姫、もぐらの按摩のもぐ市、チワワのお菊、メス猫のマリー・アントワネッコ、虎の縞縞の寅雄、ドーベルマンの権蔵、ブルドッグの尾張のブル松、ラブラドールのらぶ平など。グダグダだった白鳥師匠の説明を補完するマクラから本編へ。途中の愛のなさそうな仲間いじりが楽しい。小菊さん、橘之助さんはOKで、桃花さんは後ろに小朝師匠がよぎるからアウト。美輪明宏に憧れて金髪にしゃちゃった白狐、アライグマ、猫など女性の描写が秀逸、豚次とオスカルにイチャ付きも楽しい。なんと75分、時間を全く感じさせない熱演、笑い過ぎて内容あんまり覚えてないや。三三師匠の新作初めて聞いたがめっちゃ良い、多分確実に白鳥師匠よりうまい。そしてそこが白鳥師匠の面白さ。客席が少ないからこそ池袋演芸場の熱量は素晴らしい、だから調子に乗って演者も口を滑らせちゃうのね。とても素敵な企画公演でした。

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