浪曲「第二回富士綾那独演会」アートスペース兜座


アートスペース兜座で「第二回富士綾那独演会」を拝見しました。受付は港家小そめさんが担当されていました。30人程度の小さい会場でしたが、満席という盛況ぶり。チラシのイメージに騙されたかどうかは不明ですが、男性客多めです。

「左甚五郎 京都の巻」富士綾那
今年1月の木馬亭と同じ演目ですが、甚五郎は好きなので良し。程よいハスキーボイス。啖呵から節に変わる際の目力が素敵。

次の演目の前によく喋る三味線弾き、沢村博喜さんの解説、浪曲には「関西節(低調子)」と「関東節(高調子)」があるそう。「関西節」は義太夫の影響で三味線の調子を低く、と「関東節」は新内などの影響を受けており、調子を高くとるという。さらに今から演じる「貝賀弥左衛門」は水調子という特に調子が低いもので、かなりの技量が必要らしい。綾那さんの師匠が五代目東屋三楽さん、その師匠が富士琴路さん、さらにその前に活躍した関西浪曲界の大看板、冨士月子さんが得意とした演目だったかしら。

「貝賀弥左衛門」富士綾那
赤穂浪士の中でも初めて聞いた方、といっても弥左衛門は物語には少ししか登場しないのね。小田原の廻船問屋の若旦那寅吉が、品川の宿屋に泊まった時、風呂に入る時に娘のお捨に預けた283両のうちの3両を巡る物語。知らぬ疑いをかけられ、死んで詫びようとしたお捨を助けたのが、期待通りの貝賀弥左衛門。確かに通常よりも低い調子、言葉の区切りが超絶難しいそうですが、確かに頭に入ってきやすい気がいたします。心地よいお声とリズム、やっぱりこの方、音程の取り方とかお上手だと思うが。3ヶ月ほどは椎橋綾那名義の役者のお仕事でヨーロッパに行かれるそうですが、またお伺いしたいと思う独演会でした。

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