「さん喬十八番集成~陽春公演~」国立演芸場

国立演芸場で「さん喬十八番集成~陽春公演~」を拝見しました。

柳亭左ん坊「やかん」
左龍師匠のお弟子さん、堅実な落語ですが、間の取り方とか良くて面白い。講談調の部分もお上手でした。

柳家さん喬「締め込み」
目白の川村学園の裏に住んでいた五代目小さん師匠の家の周りでの弟子たちの愉快な行動、女学生に裸を見せたり、小里んさんが相撲取りのような格好で銀行に乗り込んだり、お金がいらない遊びをしていたというマクラも楽しい。小さん師匠への尊敬が伝わります。渋い袷の下に花柄のような派手な襦袢をお召しになっており、それを利用し悔しがる妻の描写を見せる。床下から出てきた泥棒の誤魔化しを含む「そうです」の言い方が最高、それも2回。下げは「表から鍵をかっときない」

柳家さん喬「中村仲蔵」
休憩なし、衣装替えだけして続いての落語へ。さん喬師匠の中村仲蔵!痺れた〜。妻の優しさに涙、そして舞台で『仮名手本忠臣蔵 五段目』の斧定九郎を演じる中村仲蔵に涙。ツケなど鳴り物を入れ舞台上で完全再現、実際に歌舞伎の芝居を見ていると面白さが全然違うと想像する。歌舞伎が好きで本当良かった!さん喬師匠をフィルターにして初代中村仲蔵を見ている訳なので、現代の役者が誰もかなうわけがない。黒紋付の下に真っ赤な襦袢をお召しになっており、それで口から垂れる血糊を表現する工夫も良い。客の反応が無いためしくじったと思い上方に逃げようする仲蔵、その途中、芝居がはねた後の客に遭遇し、身を隠し、自分の評判を聞いて唖然とする仲蔵にまた涙。想像力を掻き立てるさん喬師匠の落語の真骨頂。心が浄化された気分、後日思い出しても目頭が熱くなる素晴らしい舞台でした。下げは「狐につままれたみたいだ」「そうだねぇ、信心したのがお稲荷さんだから」

柳家さん喬「百年目」
仲入りを挟み、大ネタ「百年目」とは!志ん朝師匠のCDでしか聞いたことはなく、実際に拝聴するのは初めてで嬉しい。『仮名手本忠臣蔵 七段目』の由良之助の「目ンない千鳥」の遊びも中村仲蔵との続きとしては最高。前半はやや足早に、旦那に遊びが見つかってしまった後の後半はたっぷり。旦那の番頭を本当に思いやる言葉が、番頭の胸にはグサリと釘のように刺さるのが面白い。昔は旦那も遊び人だったので、確信犯的に行動しているのがわかるわ。自分の末路を想像し戦々恐々とする番頭、そしてついに翌朝旦那に呼ばれる番頭、旦那に乗せられて踊り出す、その後の「本当に踊るとは思わなかった」の一言に爆笑。最後はめだたしめでたしで内容を知っていてもホッといたしました。本日も大充実大満足の舞台でした。素晴らしい。

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