三遊亭円楽 最後のプロデュース 江戸東京落語まつり2023『東京の一番長い日』日経ホール

三遊亭円楽 最後のプロデュース 江戸東京落語まつり2023『東京の一番長い日』日経ホール
日経ホールで「三遊亭円楽 最後のプロデュース 江戸東京落語まつり2023『東京の一番長い日』」を拝見しました。定席の寄席と同程度の時間ですが、座組が凄すぎる。

「明礬丁稚」林家木りん
どこがで聞いた気がする大谷と一緒というマクラ、身長体重足のサイズが同じらしい。さらに相撲取りは神社に参拝すると惨敗するという木久扇門下らしいダジャレも。下げは「一晩違いで売ってくれなかった」
「ジャスティン・ビーバー」三遊亭とむ改メ錦笑亭満堂
初めて拝見しましたが、赤い着物が眩しく明るい雰囲気が素敵。孫が欲しがったジャスティンビーバーのCDを、動物のビーバーと間違える祖父母が楽しい。夜行性で葉っぱが好きなのに爆笑。府中で49万8,000円で売ってるのね。下げは「お前が欲しかったのはビーバーエアコンだったか」
「高砂や」入船亭扇橋
ここでしっかり古典で。豆腐屋のヒデ爺の描写、口上?が楽しい。下げは「帆を上げ〜がんもどき!」
「熱血怪談部」林家彦いち
学校寄席の話が最高。女子校での声がけ、絶妙な「待ってました!」のタイミングでの「こわい〜」から「可愛い〜」で「ありえな〜い」で落とす流れが素晴らしい。足立区の工業高校で正楽師匠がパンダを4回作った話も爆笑。高座を降りてからの「今日はパンダが多かったね」は確かに格好良い!落語は久々に聞いた話でしたが、前回よりグレードアップ。熱血教師の流石(ながれいし)先生が実は・・・。
「ウルトラのつる」柳家喬太郎
お馴染みの新作落語で盛り上げる。MG5は団時朗がモデルをしていた資生堂の化粧品なのか。何度聞いても楽しめる。

「ぷるぷる」立川吉笑
聞いてみたかった「NHK新人落語大賞2022受賞演目」、松ヤニで唇がくっついちゃう発想とぷるぷる発声が素晴らしい。棟梁は何故そうなった・・・。下げは「婆さんも何か言ってやりなよ」「どうしました、お父さん」
「棒鱈」柳亭小燕枝
アウェイな空間でのボーイスカウトソングはちょっと痛々しい気が。「サラスポンダ」はちょっと「サラスパ」の歌に似てるから頭に残るのか!
「反対俥」春風亭一之輔
前半の遅い俥屋をふくらませた、ほぼ新作爆笑落語。孫のちいちゃんに良い所を見せるため、50年ぶりに俥屋に復帰した吉蔵の哀愁。俥屋は膝に水がたまったため2週間で廃業、その後国語教師、用務員を50年勤めた後、一念発起。息子の嫁まさ子の仕打ちによりご飯もちゃんと食べておらず、まともに俥を引けない。最後は車夫が入れ替わり万世橋から駒込のピアノ教室まで高速で。下げは「昨日まで俥屋だったんだよ」
「バールのようなもの」立川志の輔
「薬缶」のような始まりで「居酒屋」を連想させる新作落語。夏が暑いのは冬のストーブのせい、冬が寒いのは夏にストーブを使わないから、エイのヒレはエイが痛いと感じる部分までなど小話が楽しい。本編の強盗が「バールのようなもの」でシャッターをこじ開けたことに引っかかる件は少し退屈。「○○のようなもの」に妾が入る場合のみ、その意味合いが強調されるとは確かに。スナックの若いお姉ちゃんは妾とは言わない気がしますが。下げは「おそらくバールのようなものだろう」

「反対俥その後」林家つる子
前編後編に分かれているとはいえまさかの同演目。一之輔さんをフリに使うとは恐ろしい。いつも通りアグレッシブでパフォーマンス強め。3つのドラム缶を飛び越える際など、客席に手拍子を強要するのは全然好きではない。そしてたっぷり、予定時間より長く演じた?つる子さんに怖いものなしか。。。
「鰻屋」三遊亭兼好
休憩するならここしかないという自虐から。よく通るお声でわかりやすく笑えるマクラと落語。最初に連れ回されて隅田川の水を飲まされる部分は枝雀さんの「鰻屋」を彷彿。傷だらけの鰻を「切られ与三」、白い腹を返しているのは「お富」に例えるのは歌舞伎好きに、片目が見えない鰻を「森の石松」に例えるのは浪曲好きには嬉しい。さらに太っちょを喬太郎さんに、最後に捕らえられる鰻を神田伯山に例える。「先に頭を潰しておかなきゃ」などという件はいかにも楽しそうで爆笑。鰻のヌメリの表現も流石でした。下げは「前に回って鰻に聞いて下さい」
「初天神」桂宮治
時間調整で短めでしたが。相変わらずの爆笑落語。宮治さんの陰気な性質が覗くアイロニカルなくすぐりが面白い。河童の代わりに「歌丸師匠の○○」は凄い。下げは「お腹の中に落っことした」
「看板のピン」春風亭昇太
人それぞれ好き嫌いがあるのは認めよう、落語の団体はバラバラでいいんだよという多様性を訴える熱いマクラから、まさかの前座話。面白いからいいけど。

「馬のす」立川こはる改メ立川小春志
今日はチラシの折り込みからいらっしゃり、楽屋にいる時間が一番長いとか。ここでゴリゴリの古典はとても好感が持てる。下げは「馬が痛がるんだよ」
「粗忽長屋」桃月庵白酒
マクラは短めでしっかりと。落語では今日一番面白かった!粗忽長屋って演者の個性もだしやすいし、本当よく出来た演目だわ。白酒師匠のニンが粗忽者にぴったり合致。最後、熊五郎から八五郎へ行き倒れが逆転するのに爆笑。下げは「コレは俺なんだよ、じゃあ、俺は誰?」
「疝気の虫」桂雀々
CDでは聞いていますが、ライブは初めてでしたが、CDと印象は変わらず。喋る量は莫大ですが、内容が無いのが楽しい。落語よりもライブハウスでの公演中に上から大きいゴキブリが落ちてきて大騒ぎになった話がゾワッと楽しい。下げは「別荘!金ちゃんはどこに?これがオチなんですよ」
「ちはやふる」瀧川鯉昇
高座に上がった瞬間の空気感が最高。舞台が南千住だったりモンゴルだったりミャンマーだったり、ほぼオリジナル。同じ演目でもスルメのように楽しめる。疲れ切った客席への配慮も流石。最後の座布団を降りてのお辞儀にも大好感。いやはや今後見ることはないかもしれない凄い一日でした。ありがとう円楽師匠!

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