国立劇場で令和5年8・9月文楽公演 第一部『通し狂言 菅原伝授手習鑑』を拝見しました。
配役
怒涛の三段目から。「車曳の段」、津國太夫さんの時平の笑いは意外に現実味、時平がやられる「大内天変の段」を考慮してのことなのか。続いてちょっとほんわかする「茶筅酒の段」、最初の到着した桜丸の妻八重、勘十郎さんの遣う四郎九郎は、本当に愛嬌がたっぷりでルンルンと可愛らしい。それだけに既に桜丸の事情を知っているという事実の辛さが際立つ。勝気ではありますが、料理は出来ない不器用な八重はとても好きなキャラクターですが、一輔さんの八重が非常に良い。賑やかな「喧嘩の段」、気分が落ち込む「訴訟の段」、そしてもっと気分が落ち込む「桜丸切腹の段」、4年ぶりに拝見しましたが、その時が初見並びに凄すぎたため、今回は冷静に見られました。
四段目「天拝山の段」、初めて拝見しましたが、荒唐無稽で面白い!最初に菅丞相が乗っている牛は人が下に入ってるのか。重そう。。。時平の手下、鷲塚平馬の自白を聞いてからの菅丞相が凄い。にしてもこんな青蝿蛆虫を送り込む時平は人を見る目が本当ない。きっと自分の力を信じ過ぎなのでしょう。ブチ切れてからの菅丞相、梅の枝で鷲塚の首を飛ばし、白梅の花をむしゃむしゃ食べて火を吐き、動きは獣じみている。藤太夫さん、清友さんコンビの冷静で澄んだ語りも菅丞相の雰囲気にぴったり。背景が変わり、実際に菅原道真が何度も登頂して天を拝したという天拝山の登頂で雷神に変わる。汗びっしょりな玉男さんはちょっとレアかも。最後は座席に体が圧迫されるほどの迫力でした。
コメント