4月定例公演 能『通円』/狂言『八島』国立能楽堂

4月定例公演 能『通円』/狂言『八島』国立能楽堂
国立能楽堂で4月定例公演「月間特集 千利休生誕500年」を拝見しました。

配役
4月定例公演 能『通円』/狂言『八島』国立能楽堂

狂言「通円 (つうえん)山本東次郎(大蔵流)
源頼政に仕えた実際の茶人通円の亡霊が主人公のお話。拝見したことはありませんが能『頼政』を本歌としたパロディになった楽しい狂言。宇治橋が完成した際の供養の際、茶を振る舞う通円、300人が押し寄せ頑張って茶を振る舞うが、茶碗も柄杓も壊れ、こらえきれず死んでしまうのが、宇治川で平家300騎と戦った頼政と重ね合わされており非常に面白い。通円の動きにしてもかなり大げさ、腰に柄杓、扇ではなく団扇を持っているのも楽しい。途中で茶碗、茶筅も用意され、お茶関連の言葉を多用した詞章も良い。舞も、足を小刻みに動かしたり可愛らしい通円、最後は「茶ち隠れ失せにけり」、背中に漂う哀愁も堪りませんでした。素晴らしい。

能「八島(やしま)弓流・那須(ゆみながし・なす)長島茂(喜多流)
戦いに勝った側をシテとするのを勝修羅というそう。小書き「弓流」により扇を弓に見立てた動きに、小鼓の特殊な演奏、「那須」により間狂言の際、アイが「扇の的」を語ります。なんで義経が八島に亡霊となって、しかも老漁夫の姿で出てくるのかという疑問が頭から離れませんでしたが、司馬遼太郎の『義経』の影響か、虚栄心の強い目立ちたがりなのか。間狂言を務めた山本泰太郎さんが凄かった。義経、那須与一、後藤兵衛実基の一人三役、あっちへ飛んだりこっちへ飛んだり、動きが激しい、最後のご褒美の「乳吸えやい、乳飲ませいやい」という義経の言葉も良いですねぇ。後場は修羅道に落ちて苦しんでいるとはいえ、義経はそれを楽しんでいるような気も。剣の光、兜の星の影と続く詞章が美しい。群がるカモメを敵に、浦風を鬨の声と間違える義経は、普通の風景がもう見られないとしても、やっぱりちょっと楽しんでいる気がしてならない。久々に修羅能を拝見しましたが、心に滞る悲哀が堪りません。それにしてもツレの若い漁夫は誰なんだ。前シテは「三光尉」、後シテは「平太」でした。

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