令和6年5月文楽公演 Bプロ『ひらかな盛衰記』シアター1010

令和6年5月文楽公演 Bプロ『ひらかな盛衰記』シアター1010

シアター1010で令和6年5月文楽公演 Bプロ『ひらかな盛衰記』を拝見。2017年12月にほぼ同じ構成で拝見して以来です。

配役

令和6年5月文楽公演 Bプロ『ひらかな盛衰記』シアター1010

義仲館の段」は馬に乗って颯爽と登場する巴御前の凛々しさ、昭和63年以来という珍しい「楊枝屋の段」、Aプロ同様、猿が活躍する。前半はほんわか、最後はシリアスな「大津宿屋の段」、そして眼目の「笹引の段」は豊竹呂勢太夫さんと鶴澤清治さんのコンビで、騒々しい部分もありますが、グッと抑えた三味線にうっとり。父を捨て山吹を笹に乗せて運ぶお筆の心、儒教の「孝」と「忠」は中国や朝鮮では「忠」<「孝」だが、日本では朱子学伝来以来「忠」>「孝」となり武士道に影響を与えたという。お筆の行動は理解しがたいのですが、女性が女性の死体を笹に乗せて引っ張るという強烈なビジュアルを考えた作者が素晴らしい。笹引きがピークだったのですが、続く「松右衛門内の段」、槌松の死を聞いてぶち切れる権四郎の剣幕に驚くばかり。そして松右衛門の正体が樋口を分かってからの切り替えの速さ、権四郎をひょいと左肩に乗せて運ぶ樋口の大胆さ。「逆櫓の段」は、玉男さんの汗を流しながらの熱演、船を漕ぎ、船頭たちを投げ飛ばし、松の木に登るなど運動量が凄い。皆で守った駒若は助かりますが、単純にハッピーエンドとは言えない切ない幕切れです。

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