
池袋演芸場で「令和7年2月下席 昼の部 落語協会百年興行グランドフィナーレ 春風亭一之輔プロデュース」を拝見しました。開演30分前に一之輔さんのアナウンス、ネタは出し、誰が出演するかはお楽しみ、という趣向のため、ロビーにずっといられると出演者に遭遇してしまうので、客席にお戻り下さい、との内容。さらに10分前に一之輔さんによる前説も有り、盛り上がります。
前座噺の王道「道灌」柳家さん喬
幕が上がるとめくりの文字に会場が揺れる。アナウンスや前説で「前座さんも緊張しています」と言っていた意味はこれか。圓太郎師匠曰く「たどたどしい道灌」ですが、会長自ら開口一番とは素晴らしい。
二つ目さん奮闘の幇間噺「たいこ腹」春風亭一花
落語会の中井貴一のつかみから。脳天に針を刺される猫は気の毒ですが、テンポの良い軽妙な雰囲気が合っている。下げは「見ろっ!また短くなった」
パワフルな、嗚呼パワフルな「強情灸」橘家圓太郎
今の子供は喧嘩をしない(すぐ止められる)から、仲直りが上手にならないというマクラから。圓太郎さんと娘との魚肉ソーセージの取り合いは想像すると面白い。やはり皆様、いつもの寄席とは違い気合が入っている印象で楽しい。
ちょっとタメになる?地噺「紀州」林家鉄平
豆知識をふんだんに入れながら。しかし終わってみると何一つ覚えていません。。。
寄席の欠かせぬ代々の芸「どうぶつ物真似」江戸家猫八
犬、アシカ、シマウマ、東天紅、初春の鶯、チンパンジー、ヌー。どこでも変わらぬ安定感が素晴らしい。
よっ名調子っ 名酔態ィ「蟇の油」柳亭市馬
1970年頃まで池袋演芸場は3階にあり、ここは「池袋ピース館」という、子供に見せられる映画はやらない映画館だっととか。階段で3階まで上がれない高齢の師匠をおんぶして運んだ話などなかなか壮絶。初めて聞く市馬師匠の「蝦蟇の油」、とても良いお声で最初の口上が見事。下げは「何とお立ち会いに血止めの薬はないか?」
ご存知、令和によみがえる「ガーコン」柳家小せん
一度も拝見できなかった川柳川柳師匠の新作落語、二村定一、美ち奴、2大愚歌という『うちの女房にゃ髭がある』杉狂児と美ち奴、『二人は若い』ディック・ミネと星玲子、北原白秋作詞の『萬歳ヒットラー・ユーゲント』などなど知らないことばかり。とにかく軍歌、歌謡曲を歌い続ける内容。最後は足踏式脱穀機の物真似で。
芝居好きの若旦那降臨「七段目」柳亭市童
令和7年の新真打ちの中では一番上手なのでは。ご自身も大好きだという得意の歌舞伎の話。目のひん剥き方が良いです。
故円丈師匠の寄席のアレ「リクエストブック」三遊亭天どん
円丈師匠の愛用していた強い近視の度が入った眼鏡と袖なしの羽織で登場、平日昼の浅草演芸場など、やる気のない客にだけ披露されていたという斬新な新作落語?客に番号を言ってもらい、予めノートに記載された番号の小噺などを披露する内容。7番、8番がまさかの連続「ハズレ!」、3番が「酔った時のズルいやつ」、4番が天どんさんが大好きだという「名古屋のマクドナルド」、最後の2番は、不謹慎な「強そうな力士」。最後はアンケートで終了。楽しい。
ヒザ前のかる〜いバクチ噺「看板のピン」春風亭一朝
安定、抜群の内容。「潜水艦徳」は見てみたい。
君たちは他人の悪口ばかりだナ「漫才」ロケット団
今日は血が出る凶悪な演目ばかりだ、プロデュースした人の性格がよく出てると最初から悪口全開、「あんな奴ら(ホンキートンク)と一緒にするな!」は爆笑。最後の北朝鮮と日本のキンちゃんの比較も最高。
「天狗裁き」春風亭一之輔
寄席らしい軽い演目ばかりを選んだということから、ご本人も軽い演目、拝見するのは4年ぶりですが。当時より色々進化しており楽しい。八五郎の女房の口の悪さ、大岡越前の賄賂、天狗に追い込まれて嘘を付いた「天どんの夢」。羽織を脱ぐタイミングが八五郎が天狗にキレる最後の部分というのも笑える。とても充実した3時間30分でした。素晴らしい。
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