「石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか」東京都現代美術館

「石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか」東京都現代美術館
清澄白河の東京都現代美術館で開催中の「石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか」展を拝見しました。思ったより混み合っており、若い方も多い。特に女性は所謂お洒落な方が多く、皆様似た雰囲気を醸しているのが興味深い。展示は「タイムレス 時代をデザインする」「フィアレス 出会いをデザインする」「ボーダレス 未知をデザインする」の時代で区分した3部構成。現代の発見(日本宣伝美術会グランプリ作、ぶっ飛んでる、最高!)、資生堂、パルコ、角川書店、山本海苔店、ヒロシマ・アピールズなどが展示された第一部が圧倒的。ポスターなどから発せられるメッセージは現代でも通用するものばかり。傾いてんな〜。うわっ、リサ・ライオン懐かし〜。素晴らし過ぎる。

作品集の「石岡瑛子 風姿花伝」、パルコの広告「宿愚連若衆艶姿(やさぐれてあですがた)」、「行き行きて重ねて行き行く」、各種の衣装デザインから明らかなように東洋の古典芸能に関する知識が凄いんだろうなと想像されます。海外に出て行く上で一般的な欧米人には本質を理解できない東洋文化、思想を身につけているということは強みなのでしょう。

映画にも沢山関わっていますが『ミシマ−ア・ライフ・イン・フォー・チャプターズ』『ドラキュラ』『ザ・セル』『落下の王国』『白雪姫と鏡の女王』、全て見たことなし。。。金閣寺がパッカーンと割れる『ミシマ』は観念的で、超絶つまんなそうですが、一度見てみたい。ただ日本では劇場公開されておらず、DVD化もされていないので難しいかも。展示会チラシは『ドラキュラ』の衣装デザインだったのか。これも硬くて格好良い肉襦袢みたいなもんか。インド出身のターセム・シン監督の映画群も賞は取っていますが、分かりくい内容のよう。映画の一部が上映されていましたが、『ザ・セル』の水の中から登場するシーンはとても美しい。この辺りはツタヤでもレンタルできそうなので、見てみよう。程度はありますが「衣装は視覚言語」というのは間違いない。ただ後年の一部の仕事は「スノッブな、少数な特殊な人たちに向けた空間作りには興味がない」という初心からはずれてきてる気も。てかシルク・ドゥ・ソレイユ(コンテンポラリー・サーカス『ヴァレカイ』)半端ないっす。生で見たい。あな凄まじ。

「EIKO」と言えば狩野英孝、恥ずかしながら石岡瑛子さん、本展示で初めて知ったアーティストでしたが、まだまだ未知の凄い方が沢山いらっしゃることでしょう。なかなか刺激的な展示でございました。

※数日後『ザ・フォール/落下の王国』を視聴。スタントで落ちて足を怪我した男とミカンの木から落ちて腕を怪我した女の子との妄想の話で、展示で見た予想とは随分違う内容でした。悪くは無いですが、内容はやや緩慢な印象のダークファンタジー。インド人監督だけあり、おそらくインドの景色、ジョードプルなどの街並みや石岡瑛子さんの大胆な衣装は美しい。人間シャンデリアや真ん中からスッパーンと開ける姫の扇型シールドはインパクトありました。

※その数日後『ザ・セル』を視聴。以外と面白かったですが、皮膚に直接金輪を付けてチェーンで吊り下げられるシーンや屍体が踊るシーンなど見ていて痛々しく悪趣味に感じます。美術館で展示されていた印象的なシーンは、猟奇的殺人者カールの精神世界での本人だったのか。壁に貼られた紫の巨大マントを引き抜きながら迫ってくるシーンが最も恐ろしくも美しい。あれは自分に身を置き換えて想像してみれば、心底怖い。終盤はやや失速気味、あの徐々に現れる蔓植物の縁取りとか、一体何の意味があるのか。。。最後は圧倒的な強さでカールを退け溺死。とはいえ以外と、面白かった『ザ・セル』です。やはり百聞は一見に如かず、であります。

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