「おいしい浮世絵展〜北斎 広重 国芳たちが描いた江戸の味わい〜」森アーツセンターギャラリー

「おいしい浮世絵展〜北斎 広重 国芳たちが描いた江戸の味わい〜」森アーツセンターギャラリー
六本木ヒルズの森アーツセンターギャラリーで開催中の「おいしい浮世絵展〜北斎 広重 国芳たちが描いた江戸の味わい〜」にお伺いしました。他の美術館と同様、30分刻みで予約制、体温計による検温、マスク着用必須です。2018年にすみだ北斎美術館で拝見した「大江戸グルメと北斎」展と、出品作も被っているものが多く、それほど代わり映えしない内容だったためインパクトはあまり感じられませんでした。

それでも好きな絵もいくつか。まずは歌川豊国の「中村座内外の図」、それを拡大したものが壁に印刷されており、楽しい。演じられているのは曽我狂言の対面の場ですが、それを観劇する人々の表情が、しっかり描かれているのが素敵。多くの人が、楽しげに飲み食いしているのが印象的。きっと歌舞伎を見る時にも今のように静かに見るものではなく、もっと気軽で客席は始終ざわついていたものと想像されます。

歌川国芳の「縞揃女辨慶(松の鮨)」は、有名な母に鮨をねだる子供の描かれた浮世絵。「おさな子もねだる安宅の松の鮨 あふぎづけなる袖にすがりて」の狂歌が記載されていまが、理由はこの浮世絵が弁慶を洒落た浮世絵10枚を集めたもののため。女性の着物も弁慶格子に輪宝の帯です。鮨は海老、玉子、青魚でしょうか。どんな味がするのか気になります。続いても国芳の「木曽街道六十九次之内 守山 達磨大師」「流行達磨遊び」、両方達磨の浮世絵、前者は蕎麦を食べる達磨、守山を蕎麦の「盛り」「やま」と掛けて洒落ています。後者は達磨の格好をした小父さん?が蕎麦を嬉しそうに食べています。置物含め5人の達磨の表情豊かで楽しいです。そういえばお昼にお伺いした鮨屋に飾ってあった大分県竹田市の伝統工芸品「姫だるま」もめっちゃ可愛かったな。

『北斎漫画』の「鰻登り」のウナギに、無いはずの腹ビレが描かれているのは、鰻好きの間では、多分、有名な話。喜多川歌麿の「台所美人」が掲載された「『パリ・イリュストレ』誌 No.45&46合併号 1886年5月号日本特集」、この展示会で歌麿のものは唯一でした。茄子を剥いたり、釜の火を焚いたりり、子をあやす4人の女性が描かれています。高い鼻に釣り目、釣り眉の瓜実顔、華奢な体、滑らかな白い肌、着物のはだけ具合、歌麿の描く女性は不思議と色気があり、とても好きです。

歌川広重の「太平喜餅酒多多買」は色んな種類の擬人化された餅と酒(に関わる道具)が戦う太平記のパロディ。酒方は剣菱が大将でしょうか。酒飲みと甘党の闘いにも見えますが、私はどちらも好きなので、喧嘩しないでもらいたいです。三代歌川豊国(国貞)の「改名祝儀當酒盛」 は、初代中村福助が4代目中村芝翫に改名した祝いの席の図。芝翫縞の着物姿は中村芝翫、酒を継ぐ女性2人、もう1人の男性もきっと成駒屋一門でしょう。奥にいるのは8代目片岡仁左衛門、やっぱり格好良いです。この展覧会、作品に説明書きが少ないのは、かなり不満でした。昔のことは事情がわからん。

最後の第4章「旅と名物」は歌川広重の「東海道五拾三次」の展示で、各所の食べ物の名物の説明。それほど興味を引くものではありませんでしたが、滋賀県甲賀市水口町の「水口かんぴょう」は食べてみたい。栃木のかんぴょうとお味が違うのでしょうか。干瓢巻き大好き。そして一生に一度は話の流れで自然に「その手は桑名の焼きはまぐり」の台詞を吐いてみたいと思いました。

作品以外には、久しぶりに訪れた六本木ヒルズの屋内展望台から見る、景色がとても綺麗で、上から見ると全てが小さく見えてテレビゲームの「シムシティ」みたい。東京の建物群って凄いです。最近日本の古い物を扱った展覧会が多かったので(おそらくオリンピック開催に合わせて)、次は外国人アーティストの作品を見てみたい。東京国立近代美術館で開催中の「ピーター・ドイグ展」なんか良さそうです。さぁ、おいしいものを食べに行こう!

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