「松平不昧 生誕270年 茶の湯の美」出光美術館

「松平不昧 生誕270年 茶の湯の美」出光美術館
約1年ぶりに再開した松の内の出光美術館「松平不昧 生誕270年 茶の湯の美」を拝見しました。予約制ではありますが、その必要があるのか疑問なほど空いていて見やすいです。

本阿弥光悦の「赤楽兎文香合」は、赤い地に白泥、銹絵でススキの中の兎が描かれています。平たい多面カットの形状がモダンで格好良い。野々村仁清の「銹絵富士山文茶碗」は、丸みのある椀の形状と上部に小さめにバランス良く描かれた富士山が可愛らしく調和。同じく仁清の「白釉耳付水指」はニュアンスのある白色で、底に穴の開いた壺を逆さにしたような形状が楽しい、こちらもふっくりとした丸みに癒されます。龍泉窯の「青磁袴腰香炉」は秀逸。古代中国の銅製沸騰機「鬲(れき)」を摸したもの。瑞々しい青が美しく、小さな3つ足のアンバランスさが愛嬌たっぷり。南宋官窯の「青磁下蕪花生」も銅器を摸したもので、少し落ち着いた青、下膨れの形状が素敵。織部はあまり好きではいのですが、弥七田古窯で作られた弥七田織部「織部手付水差」は良い。横縞に淵からの緑のタレが格好良い。

名前が面白い龍泉窯系の「人形手茶碗」は、手が付いている訳でなく、内側に人物が型押しされたもの。柿右衛門の「色絵花持美人文十角鉢」は鮮やかですが柔らかい色味で牡丹を手に持って獅子と遊ぶ美女が描かれており複雑な形状も相俟って非常に優雅。釜師の大西浄雪の「蜜柑型燗鍋」は、八角形の磁器の蓋に蜜柑の八つのフサ形状の燗鍋、素材のコントラストと造形が見事でした。

2ヶ月ぶりの美術館でしたので、目の保養になりました。絵や柄に趣向をこらした華美なものよりも、装飾もシンプルで造形の美しい陶磁器が好みということを再確認。6月15日から始まる「きらめきの日本美術―屏風絵と肉筆浮世絵」展も楽しみにしています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました