今月の歌舞伎は「七月大歌舞伎」第一部から。2018年の「十二月大歌舞伎」と同じ配役で拝見している。『あんまと泥棒』から。
配役
あんま秀の市:市川中車(澤瀉屋)
泥棒権太郎:尾上松緑(音羽屋)
緞帳が上がり、伊勢屋でのあんま仕事を終えた秀の市の影法師から。初っ端からエロさと性格の悪さ爆裂です。秀の市が金貸しで溜め込んだ金を狙って泥棒の権太郎が入りますが、人が良い。しまいには願人坊主の位牌を妻の位牌と騙され、虎の子の2朱までやってしまう。最後は秀の市が金に塗れて終わるという、いまいち腑に落ちない終わり方ですが。それでも権太郎を改心させているからよしとしようか。絶対お金を借りたくない相手であることは間違いありません。前回見た時よりも中車さんの演技が大げさでなくなっていて、良かった。笑わせていただきました。
続いては昨年11月の「吉例顔見世大歌舞伎」でも上演された『蜘蛛の絲宿直噺(くものいとおよづめばなし)』、出演者も増えて内容も少し変わっていました。
配役
女童熨斗美/小姓澤瀉/番新八重里/太鼓持彦平/傾城薄雲/実は女郎蜘蛛の精:市川猿之助(澤瀉屋)
平井保昌:尾上松緑(音羽屋)
坂田金時:坂東亀蔵(音羽屋)
碓井貞光:中村福之助(成駒屋)
卜部季武:市川弘太郎(澤瀉屋)
金時女房八重菊:市川笑三郎(澤瀉屋)
貞光女房桐の谷:市川笑也(澤瀉屋)
渡辺綱:市川中車(澤瀉屋)
源頼光:中村梅玉(高砂屋)
笑三郎さんと笑也さんの2人のシーンから、今回もコロナネタを交えて。3階の下手側の席だったのですが、常磐津長唄の詞章が非常に聞き難い。相変わらずキレの良い、にやけ顏の猿之助さんの早変わりがあった後、今回は渡辺綱、卜部季武も登場。蜘蛛の精の衣装も夏用、頭飾りも爽やか、打掛の柄は蝶?妖艶です。梅玉さんが出ると舞台が締まり華やかさも有り。立ち回りはいつものふわふわっとした力の抜けたものではなく、しっかりやられている。澤瀉屋と絡むからか。退場の時、疲れてる感ありましたが。さらに明らかに強そうな平井保昌も登場、松緑さんの白塗り久々な気がしましたが、ぴちぴちで、ちょっと可愛い。口上も洒落ていましたが、猿之助さんと松緑さんの攻守が逆の5月の「土蜘」が公演中止で見られなかったのが残念。蜘蛛の糸回収の黒子さんたちも、役者さん(特に梅玉さん)に糸が絡みまくってましたが、糸を回収しつつ衣装も直す素晴らしい活躍。皆様しっかり衣装も決められていたので、幕切れも豪華です。個人的には澤瀉屋の連帯を感じる前公演の方が感動がありました。
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