二月大歌舞伎 第二部『春調娘七種』『義経千本桜 渡海屋 大物浦』歌舞伎座

二月大歌舞伎 第二部『春調娘七種』『義経千本桜 渡海屋 大物浦』歌舞伎座
歌舞伎座で二月大歌舞伎、第二部『春調娘七種』『義経千本桜 渡海屋 大物浦』を拝見しました。仁左衛門さん、最高です!

まずは『春調娘七種(はるのしらべむすめななくさ)』から。

配役
曽我十郎:中村梅枝(萬屋)
静御前:片岡千之助(松嶋屋)
曽我五郎:中村萬太郎(萬屋)

曽我物の舞踏劇ですが、寝てしまいました。。。千之助君は見た目は綺麗なのですが、女性に見えないのが致命的か。

休憩挟んで二幕目は、片岡仁左衛門一世一代にて相勤め申し候『義経千本桜 渡海屋 大物浦』、二段目、通称『碇知盛』です。仁左衛門さんの知盛は、2017年の「三月大歌舞伎」で拝見して以来2度目ですが、いや〜凄かった〜。

配役
渡海屋銀平実は新中納言知盛:片岡仁左衛門(松嶋屋)
源義経:中村時蔵(萬屋)
女房お柳実は典侍の局:片岡孝太郎(松嶋屋)
入江丹蔵:中村隼人(萬屋)
銀平娘お安実は安徳帝:小川大晴
相模五郎:中村又五郎(播磨屋)
武蔵坊弁慶:市川左團次(高島屋)

もう銀平の登場シーンから泣きそうに。「渡海屋」と書かれた傘を差し、花道から颯爽と登場、あの背筋をピンと伸ばした歩き方、足の運び、ただ歩いているだけとはいえ、ただ歩いているだけではない、仁左衛門さんらしい格好良さ。第一声から気合いが凄い、啖呵も素晴らしく決まっていて、体がビリビリ。仁左衛門さんの最後の銀平かと思うと既に感慨深し。その後の、相模と丹蔵の魚尽くしのコミカルシーンも良かったな。又五郎さんはお顔が優しいので、こういうお役はぴったり。丹蔵に釣られて退場する魚の演技も可愛くて癒されるし、この後勇ましく登場する場面とのギャップも素敵。

義経一行が船に向かってからは銀平改め知盛登場。ここから芝居が一気に変わる。亡霊に化けた家来を引き連れ義経に復讐に向かいますが、あえなく撃沈。隼人君の腹に刀を刺して道連れの最後はとても格好良く、安徳帝の辞世の句、官女たちの入水の場面はあまり印象には残りませんでしたが、孝太郎さんの身のこなし方はやはり美しい。

血だらけになってからの知盛が本当凄かった。喉が渇き過ぎて、自分に刺さった矢を抜いて血を舐める凄惨さ。安徳帝と共に現れた義経への「生き変わり、死に変わり、恨みはらさで置くべきか」の台詞は人ではなく、もはや鬼か。左團次さんの弁慶の威圧感もとても良い。安徳帝の「仇に思うな、これ知盛」からの変化もお見事。心変わりを演じるのがもの凄く難しい場面かと思うのですが最後まで全く違和感無し。浄化といっても差し障りない安徳帝の言葉は神か仏か。子供とはいえ天皇の威光というのは当時の武士、特に平家にとっては絶大なのですね。碇の縄を巻きつけ身を投げる場面、なんとも表現できない儚げな表情、無念さよりも知盛の法悦が伝わる。背中から飛び降りるダイナミックさより知盛の心中を思うと涙が。弁慶の法螺貝が堪らなく沁みる。涙が止まらない。歌舞伎を見て初めて泣いた。

仁左衛門さんが本当凄過ぎて、1階席を取らなかったことが悔やまれますが、3階席からでも素晴らしい舞台を拝見できて良かった。演技巧過ぎる(もはや演技とも思えないが)。亡霊となった知盛が義経一行を襲うお能の『船弁慶』との対比も面白い。そして「四月大歌舞伎」は仁左衛門さん、玉三郎さんの『ぢいさんばあさん』だとっ!絶対に見逃せません!

※チケットの「戻り」をこまめにチェックしていたら、なんと一階席5列11番をゲッツ!!一等席なんて何年振りでしょうか。仁左衛門さん、ちっかー!又五郎さんのチャリ場もちかー。しかしながら二度目は何故か涙は出なかったのですが、大興奮の「渡海屋」でした。仁左衛門さん、ありがとうございます!

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