新宿にお能を見に来たついでに拝見してきました。新宿駅から徒歩10分ほど、文化学園内にある小さな博物館です。
『白浪五人男 勢揃いの場』の衣装が揃い踏み。柄の意味もちゃんと分かり面白い。首領の日本駄右衛門は「碇、方位磁石、綱」でかじ取り役、江ノ島出身の弁天小僧は弁財天ゆかりの「琵琶、白蛇」、忠信利平は神出鬼没を表す「雲龍」、赤星十三郎は苗字と美貌を表す「尾長鶏、暁の明星、桜の花」、荒くれ者の南郷力丸は「雷雲、雷獣」、全て名乗りの台詞とも関わっています。以前歌舞伎座で拝見した際、柄が違っているのはわかりましたが、理由も分かりスッキリ。肉襦袢を作る部門を「肉屋」と呼んでいたというのも面白い。役者の肌色に合わせたりとか意外と大変な作業です。
歌舞伎役者にちなんだ柄があるのも素敵。寿と蝙蝠を合わせた市川団十郎オリジナル柄や、中村芝翫の芝翫縞、坂東三津五郎の三津五郎縞が紹介されていました。
こんな感じ。柄としての完成度も高いです!
歌舞伎の衣装では、6代目菊五郎の「藤娘」の藤の精、「助六」の髭の意休、揚巻の火炎太鼓の着いた豪華な着物などを展示。能を原作とした松羽目物の「道成寺」、「石橋=連獅子」、三番叟の「翁」は能と歌舞伎衣装が両方が比較できるように展示されていました。道成寺はけっこう違いがありますが、翁の狩衣は蜀江文様(唐花に八角形、四角形の組み合わせ)で方もほぼ同じです。
お能の衣装は洗練されています。側次(そばつぎ=袖のない肩衣で、上着の上から着用)、袷法被(あわせはっぴ=前後の身頃の裾を襴(らん)と呼ぶ布でつなぐ、鬼神や天狗、武将など豪快な役で着用)、あとは紅の使い方、若い女性は「紅入(いろいり)」と呼ぶ赤の入ったもの、中年以降の女性は赤色が入らない「紅無(いろなし)」と呼ぶ衣装を着用するなど、規模の小さな展示ではありましたが色々勉強になりました。
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