2023年12月に新富町にオープンしたフランス料理店「オルタンシア」でディナー。存じ上げませんでしたが古賀哲司シェフは業界ではとても有名な方だそうです。
「発酵つや姫米、根菜類のピクルス、日本の朝食より」
米を麹でマリネし発酵させ、牛乳と昆布出汁で炊いたピューレ、大根、蕪、長芋のピクルス、、雲丹、上にたっぷりのビオラ。日本人に寄り添うリ・オレな雰囲気。1品目から情報量が多い、手間がかかっているのは伝わります。
アミューズ「ひと口のおたのしみたち」
鮟肝のフラン/蟹にビスク、フォアグラ/ピスタチオ/ラムレーズン、白子のフラン/海藻、フロマージュブラン/サラダ、甘エビ/ボタンエビ/ホワイトアスパラのタルト、生蛸のマリネ。さらに情報量多く、ここまでやるか!と驚くほど手間のかかった一口では惜しく感じるアミューズ。
「新緑豆畑のタルト、各地より届いた春の息吹」
土台はじゃが芋を使ったタルト、手前のそら豆はバターで出来ており、中にそら豆のスープが入っています。とても爽やかですが、食べ応えもしっかり。
「宇佐とらふぐのマリネ、キャビアとシャルドネクリーム」
蕪と柚子のムース、フィンガーライム、春菊のオイル、柑橘の泡などを合わせて。クリームが濃厚で、河豚の存在感はあまり感じず、素材を重ねすぎていて鈍舌は付いていけません。自家製の出来立てふわふわのパン・ド・カンパーニュにクリームやソースを付けていただくととても美味しい。
「函館の伝助穴子、白子、ピノノワールソース」
ピーナツ油で揚げた白子、ピノノワールソースは赤酒、野菜出汁、カルピスバター、カレー粉、ルビーポルト酒など。河豚の白子もソースのような雰囲気でしょうか。
「和歌山クエのロースト、タラバガニと香茸のコンソメ」
ここからの料理がとても良かった。付け合わせはモリーユ茸、モリーユ茸とマッシュルームのペースト、ゴボウ、小姫芋(里芋)。しっとりと仕上げ、上品な甘味のクエ、ソースが旨い。
「飛騨牛フィレ、ジャガイモのミルフィーユ、生山葵のアンフュージョン」
小判型、こんなに綺麗な牛肉は久しぶりに見た。飛騨牛フィレ肉を昆布締めした後、そのままだと昆布臭さが残るので白ワインで洗い、さらに赤ワイン/昆布出汁/玉ねぎのソースを絡めながら低温でローストしたという。ソースは鶏出汁、フォン・ド・ヴォー、生山葵の香り。牛肉はあまり食べませんが、絶品。火入れも抜群、昆布は牛肉の旨味と一体となっており、味わいは非常にピュアで旨い。
「山形県ゆめごこちのおじや、苫小牧北寄貝、196℃えごまパウダー」
地蛤、北寄貝、帆立、香草バターなどで仕上げています。フレンチでもご飯ばやりですが、ちゃんと美味しい。
「コンソメスープ」
肉以外の出汁を使ったコンソメと一緒に。
「沖縄すずカボチャ、マスカルポーネ、黒トリュフ」
すずかぼちゃとマスカルポーネのクリーム、ラムレーズンと練乳のアイス、最後のサマートリュフ、アイスと同じ素材のパウダーを掛けて。トリュフを生かすために使ったデザートだそう。サマートリュフの軽やかな香りが心地良し。
「小菓子」
小菓子もしっかり。パプリカとじゃが芋のタルト、オレンジで炊いた蓮根のフィナンシェ、栗の渋皮煮、アールグレイとトリュフのクッキー、胡麻のチップ。蓮根のフィナンシェはどうかと思いましたが、小菓子も非常に手間がかかっている。
驚くほど喋りが流暢な古賀シェフは「クラシックではなくイノベーティブ、そして和食は全く意識していない」とおっしゃっていましたが、よくある和フレンチを押し出す軽いレストランとは一線を画す印象。当がり前と思うのですが、当たり前ではなくなっているソースの重要さ、魚の素材感がもう少しあれば嬉しいのですが、スタッフも沢山いらっしゃるし、お酒の価格もリーズナブルなので、この価格だと難しいのかも。しかしながら一皿一と皿から感じるシェフの個性、機微と時間は素晴らしく、満足感有ります。ごちそうさまでした。
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