『この世界の さらにいくつもの 片隅に(2019年 監督:片渕須直)』丸の内TOEI

2016年に公開の映画『この世界の片隅に』にエピソードを追加した168分の長尺映画。『この世界の片隅に』がとても素晴らしかったので、こうの史代さんの原作漫画も購入し読んでいます。よって今回の映画のどこが追加されているのか漫画とごっちゃになっており詳しくはわかりませんでした。

片渕須直監督いいですね。ほぼ原作に忠実なのですが、動かない漫画をどれくらい動かさず、どれくらい動かさないかという塩梅が絶妙。こうの史代さんのほのぼのとしているものの不思議な芯のある筆跡もとても上手に再現されています。この映画を見ている時は落涙しないまでも、ずっと目がうるうるしてしまうのですが、今回は駄目でした。主に追加されているのは前回ざっくりカットされた呉の朝日遊廓「二葉館」の遊女「白木リン」のエピソード。これにより幼馴染の水原哲も言っていた主役の北條すずの「普通」であり「まとも」である部分が強調されている。すずは戦争中も普通に恋をし、普通に悩みますが、主人の周作と関係があった「白木リン」に、周作がリンのために買った竜胆柄の茶碗を渡しに行くという強さ、優しさ、純粋さも感じられます。素晴らしい。そんな感じでより作品に深みが加わり、終盤の敗戦時、最後の原爆で母を無くした子供の件は涙が止まりませんでした。

『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』の公式サイトを見るとやたら満足度が強調されている。足を運んでいるのは前の映画ではまった人がほとんどなのではないかとも思える。公開3日目に行ったのですが、1〜2割ほどの寂しい入り。もっと沢山の人に見て欲しい素晴らしいアニメ映画(漫画)です。

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