落語「柳家権太楼独演会」深川江戸資料館

深川江戸資料館で開催された「柳家権太楼独演会」にお伺いしました。この状況なので、チケットの捥りも無し、スタッフとの接触は一切無いように気をつけられており、会場でマスクも50円で販売されていました。チケットは完売のはずですが6割ほどの入り、演者以外全員マスク着用という異様な雰囲気。落語を見るときはマスク外して笑いたいけど、これは外せない。客席で何方かが咳をすると、ちょっとピリッとするのは仕方ないですね。

最初に権太楼師匠の挨拶がありました。3月の仕事はほぼキャンセル、今日落語が出来て本当に嬉しいとおっしゃっていました。二席目は50分話す予定だったそうですが、こんな時期なので短めで、気楽に楽しくやりましょうというお話。新宿末廣亭の代演を頼まれ、一応誰の代わりかを確認したら柳家さん喬さん。奥様の「さん喬さんだって仕事無いでしょ!」の突っ込みが最高です。今の時期、公演してくれるだけで心から感謝です。

三遊亭歌つお「牛ほめ」
前回は「子ほめ」でしたが、似たような演目できた。印象は前回同様で堅実。もうちょっと遊びがあると良い。下げは「穴が隠れて、屁の用心になるから」。

柳家さん光「ん廻し」
言葉に「ん」の付いた分だけ田楽をもらえるというお話。別名「田楽喰い」、演者によって「ん」の付く言葉が異なる場合が多く、遊べる演目です。後で権太楼師匠にも「意味の無い」言われていましたが、まくらが無駄に長かったか。いつか良くなる、南京玉簾があるから大丈夫!

柳家権太楼「幾代餅」
おっ、好きな演目来たっ!日本橋馬喰町一丁目の搗き米屋六右衛門の奉公人清蔵が、絵草紙屋で見た姿海老屋の幾代太夫の錦絵に惚れてしまうお話。清蔵が女将に打ち明ける場面から面白い。豆腐屋のお豆ちゃん?植木屋のお花ちゃん?金物屋のお鍋ちゃん?違います幾代太夫です。金原亭馬生 (10代目)師匠の幾代餅をよく聞いていまして、それほど笑い所が沢山ある話ではありませんが、的確に笑わせてくれます。吉原に詳しい医者の大藪竹山先生、今夜が山の患者を寿命だと言い切って、清蔵を連れて行きます。共に一夜を過ごした後朝の清蔵のくどきはホロっときます。最後は「来年の三月」と呼ばれるも、目出度く結ばれます。とても良い話です。

柳家権太楼「天狗裁き」
幾代餅の主役は実は六右衛門の女将ではという話から、色々な演目に出てくる女将のモデルは師匠の奥様かもという「まくら」から落語への入りもスマート。超定番の誰が演じても笑いの多い演目です。鼻ちょうちんを出したり引っ込めたりして、ニヤニヤしながら寝ている熊五郎を女房が起こし「どんな面白い夢を見てたの?」と聞くが、夢など見ていない熊五郎は答えず「人間の血が流れてない」「人殺しー」まで言う大ゲンカに。そこから夢を聞きたがる兄弟分のトラ、家主、奉行、天狗とどんどん話が大きくなっていきます。1本目のお豆、お花、お鍋の振りがここで効いており、最後はお囃子のエリちゃんまできて下げに繋がり、お見事。大きな動作と、柔らかそうな頬っぺたで表情豊かに語る柳家権太楼師匠、素晴らしいです。

こんな時期に開催していただき沢山の笑いを届けてくれた柳家権太楼師匠、さん光さん、歌つお君、そしてエイフル企画さん、本当にありがとうございます。こういう状況だからこそ笑い、芸能の力の偉大さが身に沁みます。

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