四月大歌舞伎 第三部『ぢいさんばあさん』『お祭り』歌舞伎座

四月大歌舞伎 第三部『ぢいさんばあさん』『お祭り』歌舞伎座
歌舞伎座で「四月大歌舞伎 第三部」を拝見しました。

まずは森鴎外原作の新作歌舞伎『ぢいさんばあさん』から。昨年の「十二月大歌舞伎」で勘九郎さん、菊之助さんで上演された演目なので比較も楽しみです。

配役
美濃部伊織:片岡仁左衛門(松嶋屋)
下嶋甚右衛門:中村歌六(播磨屋)
宮重久右衛門:中村隼人(萬屋)
宮重久弥:中村橋之助(成駒屋)
久弥妻きく:片岡千之助(松嶋屋)
戸谷主税:片岡松之助(緑屋)
石井民之進:片岡亀蔵(松嶋屋)
山田恵助:河原崎権十郎(山崎屋)
柳原小兵衛:坂東秀調(大和屋)
伊織妻るん:坂東玉三郎(大和屋)

78歳にして若々し過ぎる仁左衛門さんですが、流石に鮮やかな緑の着物は合っていない気が。ただ仁左衛門さんの素直でお茶目なお役は新鮮で面白い。そして玉三郎さん、久右衛門を諭しながらも縫い物を進める所作が自然でいちいち美しい。蚊に刺された跡を唾で消毒するなどいちゃいちゃシーンは、にたにたしゃちゃう。小説では伊織72歳、るん71歳の時に再会したそうなので、この時は35歳か。るん役の玉三郎さんの化粧もそれを意識して、そういうお化粧をされているのか。流石です。好々爺役が多い歌六さんの悪い奴、否しつこい奴、下嶋役もなかなか良い。最後の背面落下はちょっとドキドキ。昨夜あまり寝ておらず、とても眠かったのですが、これくらいから目が冴えてきた。37年後の再会からはお役が実年齢にあっており、素晴らしい。若い方が演じると、年寄り感を出そうとするために、不自然さが出て、そこは笑いにつながるから悪くはないのですが、個人的にはその笑いは不必要。伊織とるんの動きの違いは剣術師範をしていた伊織と、筑前国黒田家の奥方に支えていたるんの生活の違いか。桜の木の別の枝に掛けられた短冊を2人で老眼鏡を取り出して眺める姿からずっと、涙目でにたにた見られる。座布団ボケは鉄板ですね。見た目は変わっても中身は変わらず相思相愛。若夫婦が霞むな。それにしても長年お2人で作り上げてきた空気感が素敵過ぎる。心の底から心温まる一幕です。

二本目は玉三郎さんの清元による短い所作事『お祭り』、外題『再茲歌舞妓花轢 (またここにかぶきのはなだし) 』の一部分。

配役
芸者:坂東玉三郎(大和屋)
若い者:中村福之助(成駒屋)
同:中村歌之助(成駒屋)

幕が上がると御三方揃い踏み。先ほどの演目より若々しい芸者の装いが素敵。案の定、詞章が聞き取れず苦虫を噛み潰したような気持ちになりましたが、待ってて良かった山王祭。来月の第一部も楽しみです!

コメント

タイトルとURLをコピーしました