八月花形歌舞伎、第一部『加賀見山再岩藤 岩藤怪異篇』、復帰された猿之助さんバージョンを拝見しました。
配役
多賀大領、御台梅の方、奴伊達平、望月弾正、安田隼人、岩藤の霊:市川猿之助(澤瀉屋)
鳥居又助:坂東巳之助(大和屋)
安田帯刀:市川男女蔵(滝野屋)
蟹江一角:中村亀鶴(八幡屋)
花園姫:市川男寅(滝野屋)
蟹江主税:中村鷹之資(天王寺屋)
局能村:市川寿猿(澤瀉屋)
局浦風:市川笑三郎(澤瀉屋)
お柳の方:市川笑也(澤瀉屋)
花房求女:市川門之助(滝野屋)
二代目中老尾上(お初):中村雀右衛門(京屋)
前回の配役も良かったですが、やはり、今回の方が落ち着く。演出も少し変わっていて柏木曽平太役の市川猿三郎さんの鼻血ボケとか猿之助さんの愛情を感じます。6役の演じ分けも見事で、序盤で多賀大領が上手にはける時の、ちょっとした仕草とか魅せ方が上手い!特に岩藤が圧巻で、登場時の強い怨念を感じる台詞回し、「ふわふわ」の時の、蘇って恐れ入ります、みたいなちょっと恥ずかしげな照れの表情と扇で顔を隠す仕草、移動も滅茶スムーズだし本当体幹が鍛えられているのでしょうね。「旭の尊像」でやっつけられる時の表情と動きも漫画的でヤバいです。ヤバ過ぎて笑っちゃったよ。「草履打ち」の場面もじっとりと、手加減が感じられない粘っこさが良い。
また以前は後半ちょっとだれる感じがあったのですが、上演時間も5分以上短くなり、テンポアップで解消されていました。猿之助さんは前の役者の台詞にかぶせる勢いで台詞回しはとても素早く、それでいて聞き取りやすい。巳之助君の威勢のよい又助もとても素敵。最後の切腹シーンは悲しくなりました。代役のピリッとした感じもよいですが、今回のような安定感のある舞台が好きです。全体的なまとまりも非常によく、大満足でした!
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