八月花形歌舞伎 第二部『真景累ヶ淵 豊志賀の死』『仇ゆめ』

八月花形歌舞伎 第二部『真景累ヶ淵 豊志賀の死』『仇ゆめ』
歌舞伎座で「八月花形歌舞伎 第二部」を拝見しました。まずは『真景累ヶ淵(しんけいかさねがふち)豊志賀の死』から。

配役
豊志賀:中村七之助(中村屋)
お久:中村児太郎(成駒屋)
新吉:中村鶴松(中村屋)
噺家さん蝶:中村勘九郎(中村屋)
伯父勘蔵:中村扇雀(成駒屋)

三遊亭圓朝の創作落語、口述筆記の『真景累ヶ淵』全編を拝読していますが、実は非常に長く、非常にややこしい因縁の話です。しかしこれは完全にイメージと違った!怪談話の気持ちで見始めたら、コメディか!内容はほぼ同じですが、客席からかなり笑いが起こっており驚きました。勘九郎さん演じる圓朝を捩った「噺家さん蝶」の落語により話が進んでいくのかなと想像していたのですが、全然違います。豊志賀の死を知らせに来る人でしたが、完全に笑いを取りに行ってたな。稲川淳二の物真似いるっ?「お久殺し」まで行くと思ったら、本当に豊志賀が死ぬところで終わるのか。最後の籠から出てくる場面の、その驚かし方は違うかと。ちょっと自分の期待と演出が違いすぎて色々楽しめませんでした。。。

二幕目は『仇ゆめ(あだゆめ)』、1966年に17代目勘三郎の狸で初演、中村屋ゆかりの演目だそう。しっかりした二幕をほぼ同じメンバーで演じるというのも面白い。こちらも初めて見る演目ですが、これは良かった!

配役
狸:中村勘九郎(中村屋)
深雪太夫:中村七之助(中村屋)
舞の師匠:中村虎之介(成駒屋)
揚屋の亭主:中村扇雀(成駒屋)

上手側の竹本の語りで話が進むのですが、下手側の清元も深雪太夫の心情表現としてたまに登場。京都島原の遊郭の深雪太夫に恋をする壬生寺(現伊賀市)のほとりに住む狸の切ない恋話。舞の師匠に化けて太夫に接近しますが、実は太夫も師匠に恋をしており両思い。その後、本物の舞の師匠が登場しますが、先ほどとは打って変わってつれない師匠の態度に、ふてくされる太夫が可愛い。ちょこまか動く禿鶴松も可愛い。

揚屋の中に獣の足跡や毛が沢山落ちていることに気づき、なぶってやろうと企む亭主と師匠。3人による小幡踊りは本当に楽しい踊り。両サイドが親子ってのも良いし、羽織の紋が狸の足跡、足は毛だらけ、ぴょこっと飛び出す尻尾の表現とか色々楽しい。そして大好きな桑酒の匂いに釣られて本性を表してしまう狸、亭主に太夫の身請には千両箱がいると言われ、どこかに落ちていないか探しに行く狸。その後、亭主の単純な罠に引っかかり袋叩きに合う狸。「こんこん木幡の山火事で たんたん狸が焼け死んだ こんこん木幡の栗の木で たんたん狸が首吊った こんこん木幡のてっぺんで たんたん狸が腹切った」の詞章が強烈。扇雀さん、そこまでやらなくても。。。

そして本物の舞の師匠も実は深雪太夫が好きだったけど、実は妻がいると。そんなの関係ねえとなりそうな所ですが、身を引く師匠、真面目!最後の竹本、清元による「しづ心なく 花ぞ散る 春のなごりの 花ぞ散る」が、本当切なく美しい。最初あんなに浮かれていた狸が、最終的には死んでしまうとは。次は人間に転生してどうか恋を成就させられることを願います。『豊志賀の死』もこれくらいのメリハリ付けてくれたら良かったのに。狸が大好きな父に見せてあげたいと思った素敵な演目でした。

今週の猿之助さんによる第一部『加賀見山再岩藤 岩藤怪異篇』も楽しみです!

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