12月特別企画公演『年の瀬に新作を聴く会』国立演芸場

12月特別企画公演『年の瀬に新作を聴く会』国立演芸場
今年最後の国立演芸場で『年の瀬に新作を聴く会』を拝聴しました。新作はあまり積極的に聞かないので楽しみ。

前座:「ばくろ」三遊亭ごはんつぶ
噂話が大好き、しかもすぐに人に言っちゃう2人の飲み会の話、先日聞いた「道灌」より生き生きしていたかも。現代の社会問題もさり気なくいれつつ。やっぱり若い人には新作はやりやすいのかね。面白かった。サゲは「うちの職場の人間、皆知ってる」

この後、池袋演芸場に出演中の小ゑん師匠が出番に間に合わないかもということで繋ぎの白鳥師匠、彦いち師匠のトーク、途中で私服姿の喬太郎師匠も闖入、私服が絵に描いたおじさん服で笑える。ちょっと蛭子能収さんに見えるな。もちろん今年11月30日に逝去された円丈師匠のお話がメイン。彦いちさんが賞を取った時に木久扇師匠より、円丈師匠に報告、それにより白鳥さんがとばっちりを受ける話など爆笑。舞台でうろうろしたり、猫になる喬太郎さん自由過ぎる。

「黄昏のライバル-師匠編」三遊亭白鳥
誰々編とするだけで、誰にでも応用できるシステム新作落語なのか。面白い。死にかけてる師匠を芝浜で起こすところから、怒涛の色んな方のエピソードや思い出話。もはやフリートーク。死してなお闘い続ける円丈師匠への尊敬の念を感じます。

「ぺたりこん」柳家喬太郎
ここから三遊亭円丈師匠作の落語3連発。新作ばっかりやりすぎて市馬師匠に怒られた話や、話題になってる笑点の話どうでもいいわ!というマクラからとんでもない内容の落語へ。ブラックな要素のある落語が似合う喬太郎さんですが、これは本当にどす黒い。机に手がくっついてしまい社員から備品になってしまった男の話。後半はもはや怖過ぎて、考え過ぎて笑えない。これも落語の面白さ。素晴らしい。サゲは「就業規則第8条、社員は机に座っちゃいけない」

「稲穂のジュウタン」林家彦いち
コロナで仕事が続々キャンセルになって、世の中が暗くなれば暗くなるほど明るくなる円丈師匠、何キャンセルシーベルト?って爆笑。コロナで各劇場が休業する中、営業続行を決めた演芸場、大臣が視察に来た時に出演していたのがアサダ二世らしい。大爆笑。その3日後寄席が締まったそう。面白すぎる。この落語もちょっと社会風刺を感じる、とんでもないイリュージョン落語。頭がパカッて割れて脳みそがふわふわ、福井県の旅館から、宇宙までいっちゃって悟ったようで、悟っていない。脳にバカって書いてあるし。大根、鯵の開き、もやし農家に乗り込む男ですが、言い分がハチャメチャ。サゲは「脳にゴウインマイウェイと書いてありました」

「悲しみは埼玉に向けて」柳家小ゑん
小ゑん師匠、初めて拝聴しましたが、面白かった〜。円丈師匠の最も有名な作品、昨年の12月23日の『「円丈百席」を聴く会』が円丈師匠の最後の公演でしたが、そこで披露されたのもこの落語だそう。恐るべし北千住、佐野厄除け大使よ佐野学園の関係、北越谷伝説、プラネタリウムのおじさんなどこの落語も幻想的。基本的に優しい雰囲気で北千住をこき下ろす落語なのですが、小ゑん師匠のムードか円丈師匠が乗り移ったのか、不思議とじんわり温かい気持ちになりました。円丈イズムはしぶとく生き続ける。素晴らしい。

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