新宿末廣亭で「余一会 夜の部 喬太郎・文蔵二人会」を拝見しました。2階席まで満員御礼、素晴らしい!頑張れ新宿末廣亭!
前座:「犬の目」春風亭枝次
下げは「しょんべんすると、どうしても片足が上がるんです」
「権助提灯」橘家文吾
文蔵師匠のお弟子さん、眉毛の動かし方が師匠と似ている。前座さんと二つ目さんは何故こんなに眠くなるのだろう、下げは「提灯には及ばない、夜が明けた」
「生か死か」田辺いちか
神田派ばかり聞いているため、田辺派は初めてお聞きするかも。この方も二つ目なのか、めっちゃ良かった。十二代目田辺南鶴の新作講談、戦後、特攻隊で息子を無くし、事業にも失敗し借金を抱え、自殺を考えている高橋金兵衛と、特攻隊から運良く生還し、今はヤクザ稼業に身を落としている山瀬辰造(シベリアの辰)の交流を描く。とても聴きやすいお声、一生懸命ですが、必死さは感じさせない読み口、最後はうるっと来たな〜。また拝聴したい。
「ちりとてちん」橘家文蔵
黒の羽織袴で登場、師匠でなく親分的、恐いよ〜。5月29日に笑点に出演したとういう鮮度の高い話、大人の事情があるのでしょうが、アドリブはいっぱい編集されちゃったのね。囲碁会が中止になり、仕出し屋から取った料理が大量に余ってしまっている。最初は気の良い六さんを呼ぶ。灘の生一本、鯛の刺身、鰻の蒲焼きを食べますが、世辞を言いながらの食べ方が秀逸で爆笑。スーパーの魚売場で掛かっている「おさかな天国」への擽りも最高、最後は褒めるし。続いて腐った豆腐を見つけて、性格の悪い虎さんを呼ぶ、台湾名物ちりとてちん製作の際、フケや耳くそ、鼻くそまで入れるのが楽しい。ちりとてちんを食べて悶絶、ぶっ倒れて足もぴくぴく、爆笑。下げは「どんな味がした?」「豆腐の腐った味」
江戸川乱歩作「赤い部屋」柳家喬太郎
コロナ禍、暇過ぎて歌武蔵師匠とお互い伸ばした髭をスマホで撮って見せ合いっこしていたというマクラからあくび指南、本編へ。どんな話かと思ったらCDでも聞いたことのある演目だった。CDには入れられない言葉もぶち込んで気持ち悪さが三倍増、あんまをマンホールに落として殺害した話はCDには入ってなかったかも。笑えない話です。
対談:柳家喬太郎×橘家文蔵
お二人もおっしゃっていたように、ずっと一緒にやってきたので、特に話すことはないそうですが、その通りの内容。前座時代、入船亭扇治師匠に全部任せて文蔵師匠がさぼっていた話、白鳥さん、馬遊さんの悪口は酒の肴に最高という話など。喬太郎師匠は二代目橘家文蔵師匠に竹の水仙、錦木検校を教えてもらったのか。最近はほとんど掛からないという演目「尼寺の怪(お勤め)」も聴いてみたくなりました。
「ウルトラ仲蔵」柳家喬太郎
出囃子は「ウルトラマンの歌」、古典落語「中村仲蔵」のパロディ、先ほど新宿ピカデリーで『シン・ウルトラマン』を見た直後だったのでテンション爆上がり。ベムラーを倒して名題に昇進したものの、なかなか良い防衛(お役)が回って来ないウルトラ仲蔵の憂鬱、地球でバルタン星人を倒したのはウルトラ菊五郎さんだったのか。ソーラー屋で出会った、格好良いケムール人親分に学んでからのR惑星でのバルタン星人との戦闘も迫力満点、個体によって性格が全然違うのね。『シン・ウルトラマン』でも使用していた必殺技「八つ裂き光輪(ウルトラスラッシュ)」はここで生み出されたのか。最後は見事初代ウルトラマンを襲名。脇役のキング親方、弟子のナイス、特にゾフィーの造形も楽しい。下げは「ナイス、成人(星人)はバルタンに任せらい」、最高!
「歌ネタ」マキタスポーツ
名前は存じ上げていましたが、初めて認識。「サザエさん」「星野源さんっぽいコード」、揺れる悩ましい思いを、字余り気味に表現したミルチルっぽい「トイレ」の歌は盛り上がったな〜。最後は「いとしのエリーに乾杯」で終了。面白かった〜。
「松本清張作~左の腕より~飴売り卯助」橘家文蔵
喬太郎師匠とは真逆の正反対のテンションで、いきなり本題に入る始まり方、めっちゃ格好良い〜。この異常な声の小ささは確信犯か、2階席まで聞こえてたのかな。笑いは最後の少しだけですが、聞かせます。これ出来る噺家はなかなかいないのでは。見た目通りヤクザ者の話は素晴らしく、痺れました。下げは「明日が開店だってのに、開店早々店じまいだ」
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