銀座ブロッサムでGINZA文楽『端模様夢路門松(つめもようゆめじのかどまつ)』を拝見しました。珍しい端役の文楽人形「つめ」が主人公の超珍しいお話、昭和59年3月初演の竹本勘十郎さん(当時吉田蓑太郎)作、作曲は鶴澤清介さんの新作です。
まずは木ノ下歌舞伎主催の木ノ下裕一さんと勘十郎さんとの短い対談。勘十郎さんは、忠臣蔵、祇園一力茶屋の段の仲居さんのつめ人形を持って登場、衣装に大星由良之助の家紋があしらわれた一力専用つめ人形だそう。ちょっとした扱いが本当素晴らしく、既に感動、初めて動くのを見た木ノ下さんも柔和な方で、話し方も好感が持てました。この公演も2021年に木ノ下さん企画でロームシアター京都で久しぶりに再演されたことがきっかけ、有難う木ノ下さん。
浄瑠璃は竹本碩太夫さん、三味線は鶴澤清介さん、鶴澤清公さん、鶴澤清允(胡弓も)さん。舞台は三人遣いの人形にボコボコにされるつめ人形、それから舞台裏のセットへ転換され、つめ人形たちのお話へ、ちょっとトイストーリーみたいでワクワクする設定です。三人遣いになりたい、つめ人形の門松、吉田屋の伊左衛門のもの真似が見所、その後の小道具部屋で、小道具として扱われる動物人形、狐、犬(NHKのテレビ番組「にほんごであそぼ」のために勘十郎さんが手作りしたもの)、猿、馬との交流も楽しい。猿だけ三人遣いなんですね!大猿が活躍する『靭猿』も見てみたい!
いつの間にやら三人遣いになった門松、体は『夏祭浪花鑑』の団七ですが、顔だけそのままでアンバランスな姿に爆笑、立ち回りしようとしても体が思うように動かない門松に哀切を感じます。最後は急にお梅どんとの恋愛も成就、つめ人形たち(茄子と南瓜のつめ人形まで!)勢揃いの江戸端唄「背戸の段畑(茄子と南瓜)」で目出度く幕切れ、舞台から物語の中の舞台につめ人形の誇りを持って出て行く門松がちょっと眩しく見えました。
文楽の後は再び対談コーナー。主役の門松の顔は鳴門の文楽人形師、大江巳之助さんに習いにいっていた吉田簑二郎さんが彫ったもの(実は巳之助さんがほとんど彫ったとも)で、他のものより少し大きい。そして勘十郎さんは、今後は新作や復曲を沢山やってみたいそう。また河童と狐が登場する勘十郎さん作の新作文楽『鈴の音』も拝見してみたいです。面白かった〜。
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