日本橋社会教育会館ホールで「第13回林家つる子独演会」を拝見しました。
開口一番「庭蟹」林家たたみ
「片棒」林家つる子
めくりが逆さに吊るされているというハプニングから。林家あずみさんと一緒に昨日大相撲を始めて見に行き、砂かぶり席だったためテレビに映り、その反応が凄かったというマクラから。借金してまで歴史に残る葬式にしたい金太郎、高崎弁当社製の「縁起の良い」だるま弁当。粋な色っぽい葬式をしたい銀次郎がやはり一番面白い。掛け声と太鼓の途中で入るは「鉦」か。ケチ兵衛のからくり人形の表現もキレが良い。客の手拍子などを要求する流れは、現実に引き戻されるので好きではないですが、二つ目とは思えない出来。素晴らしい。
「お徳から描く〜子別れ」林家つる子
芝浜など初めて披露したのがこの会であることから、思い入れのある演目を。聞いてみたかったので嬉しい!簡単なあらすじ説明の後、立ち直った熊五郎と番頭が木場に向かう所から。熊五郎が息子の亀と出会い、別れてから妻お徳の視点へ。井戸端の場面など、肉付けがやや冗長に思う部分もありますが、終盤、鰻屋に入ろうかどうか迷うお徳に声を掛ける女性、実は芝浜魚勝の女将さんがとても良い。落語好きの洗脳効果により、繰り出す言葉に深みがある。何故か家族の隣に女将も番頭もいるのは落語らしく、「子は鎹」の下げのフリも女将さんが言っちゃう流れも自然です。
「お島から描く〜子別れ」林家つる子
子別れのエピソード0のような、品川遊郭での熊五郎とお島の状況から。紺屋高尾に続き『三枚起請』『お見立て』に登場する喜瀬川花魁も登場。品川から吉原へ移動した喜瀬川の口利きでお島も吉原「朝日楼」へ移った流れはとても自然。熊五郎は吉原に行く前に親方から50両借りていたはずですが、よく身請けのために追い借金できたな。身請けされてからのお島は辛いが、「遊郭ごっこ」の発端はやはりお島だったのか。あまりの辛さに「湯へ行く」と言い吉原に戻ったお島、娑婆も苦界も嘘だらけかもしれませんが、それが真実。数年後、花魁となり本物の花魁道中の場面で終わり。なかなか切なく渋い落語ですが、前回拝聴した「紺屋高尾」同様、今後の進化が楽しみです。
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