新宿永谷ホールで「日本講談協会定期公演 講談新宿亭」を拝見しました。
前座:「三方ヶ原軍記」神田青之丞
前座:「寛政力士伝より越の海 序開き」神田紅希
新潟出身の酒屋の息子、身長5尺5分、体重36貫の勇蔵をたまたま柏戸が見つけてスカウト。谷風梶之助と対決する前で終了。たどたどしい。
「慶安太平記 秦式部」神田松麻呂
由井正雪と浅草寺で皿回しをしていた秦式部の出会い。秦式部の天気読みにより干魃の雨乞いは大成功、通しで聞いていみたい。
「太閤記 醍醐の花見」神田紅純
天下三大贅と言われる秀吉の醍醐の花見、仮装大会で秀吉は鮎を売る桂女、前田利家は鹿島の神官に仮装し場を盛り上げるが、続いて登場した上杉景勝は、薄汚い百姓の仮装で不評を買う所で終わり!最後はめでたく幕切れのようです。
「鹿政談」神田伯山
木ノ下歌舞伎の木ノ下さんに書いてもらった講談だそう。奉行の川路聖謨(かわじとしあきら)の、裏で悪いことをしている興福寺の了全たちを凹ませる名裁きがスカッとする。当時は200匹の鹿に3千石の扶持がでていたのか。面白い。
「伊達家の鬼夫婦」神田紅
普段から着物だそうですが、なんと着物を忘れるハプニング。阿久鯉さんに借りられて良かった。ウーマンリブの時代にぴったりの講談だったそう。確かに男性完全優位の社会で、女性が真に活躍する話は少ない。 獅子の洞入り洞返し、井伊直人の妻お貞の愛情が素晴らしい。とても気持ちの良いお話です。
「天保六花撰 丸利の強請」神田松鯉
二代目松林伯圓による創作、 本家の六歌仙のことを読んだ蜀山人の「四歌仙 小用に立った そのあとで 小町業平 あとでこそこそ」の狂歌も楽しく、吉原大口屋の遊女三千歳が老年、歌舞伎で五代目尾上菊五郎演じる『直侍』を見た時に「本物はもっと格好良かったよ」と言ったエピソードにグッと来ます。歌舞伎でもお馴染みの河内山宗俊と、ちょっとだけ暗闇の丑松が活躍する話、それだけで楽しい。13両2分の珊瑚の緒締めをチョロまかす場面はお見事、松鯉師匠のお声はスッと耳から頭に滑り込む心地よさ。歌舞伎でも是非見てみたい演目です。
「清水次郎長外伝 小政の生い立ち」神田阿久鯉
先日、日向ひまわりさんで拝聴したお話でしたが、気っ風の良い読みっぷりが素敵。
「難波戦記 本多出雲守の討死」神田愛山
最近ジャイアンツより日ハム(東映フライヤーズ)が好きになってきたというマクラから。酒乱の本田忠朝が大坂夏の陣で決死隊として出陣した際、最後は真田幸村の影武者に古井戸の中から槍で突かれて戦士する切なさ。墓は大阪天王寺の一心寺にある「酒封じの神」として崇められているという。伯山さんへのディスり、自慢、くすぐりの豆知識、アル中の描写など軽妙ですが腹が座った素晴らしい読み口。とても楽しい講談会でした。
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