文楽祭『菅原伝授手習鑑 車引の段』『寺子屋の段ー天地会ー』国立劇場

文楽祭『菅原伝授手習鑑 車引の段』『寺子屋の段ー天地会ー』国立劇場
国立劇場 小劇場で「文楽祭」を拝見しました。「文楽名鑑」2冊目ゲット、1本目は『菅原伝授手習鑑 車引の段』です。

配役
松王丸:豊竹呂太夫/桐竹勘十郎
梅王丸:竹本錣太夫/吉田玉男
桜丸:豊竹藤太夫/吉田和生
杉王丸:豊竹呂勢太夫/桐竹勘壽
藤原時平:竹本織太夫/吉田玉也
三味線:鶴澤清介

盤石のドリームチーム。人間国宝の人形遣い3名の三つ子は凄すぎるだろ。織太夫さんの時平は不気味で良いです。

『座談会』司会:山川静夫/登壇者:豊竹咲太夫、鶴澤清治、竹澤團七、吉田和生、桐竹勘十郎、吉田玉男
車椅子ですが、咲太夫さんの元気なお姿見られて嬉しい。天ぷら屋でこけて、10時間以上の手術?山川さんは良い話を聞き出したかったようですが、基本苦労話が多い。最後は、山川さんのナイスな無茶振りにより、玉男さん、勘十郎さんの左、和生さんの足でお園を遣うという目の玉が飛び出るサービスも。げに有難や。

最後は大夫、三味線、人形遣いの三業の役割を入れ替えて上演する『寺子屋の段ー天地会ー』です。

人形配役
源蔵:竹本南都太夫、豊竹藤太夫
戸浪:鶴澤清公、鶴澤晴鍾
松王丸:竹本織太夫、豊竹睦太夫、豊竹呂太夫
千代:竹本文字栄太夫、鶴澤清丈、竹本錣太夫
菅秀才:鶴澤藤之亮、鶴澤燕二郎
小太郎:竹本織栄太夫
春藤玄蕃:竹本津國太夫

人形遣いは基本固定ですが、特に大夫は入れ替わりが凄く激しい。席が上手後方でしたが、沢山の大人たちがざわざわじゃらつく床も舞台も見えて凄くいい。皆さん、出入りの時に裃引っかかっちゃうのね。三味線は勘十郎さんから始まり、たどたどしいながらもけっこう上手い、続く玉佳さんはほぼ何もせず終了で爆笑。中盤からの三味線はずっと呂勢太夫さん、上手過ぎる!大夫は戸浪と千代、女性の声に皆様、悪戦苦闘の様子。人形は、やっぱり大きいものは遣うの難しいんですね、ずっと斜め20度上方を見ている挙動不審な玄蕃と一輔さんの浄瑠璃の合わせ技に泣いた。いつでも思い出し笑い可能。次からの『寺子屋』は泣けなくなる不安が。織太夫さんの松王丸も頑張ってはいますが、後半は人形らしい力の無い俯き気味な様子が面白い。後半は源蔵の文司さんがもってったな。こんなに繊細でチャーミングな源蔵はおそらく最初で最後。何度でも聴きたくなる恐るべき中毒性。玉也さんの「楽屋でぷれみあむもるつ!」、大夫になっても、見台をばんばん叩いて、うっさい藤蔵さん、松王丸の語りも勘十郎さんから本気な燕三さんへ。最後は松王丸の左遣いに玉男さん、千代の左遣いに和生さんという恐るべき布陣、團七さんから「いろは送り」を略奪した清志郎さんが良いお声で締め。こんなに笑い泣きしたのは久々です。

再び幕が開き舞台に全員集合、勘十郎さんの大阪締めで終了。ロビーでの出演者によりお見送りもあったようですが、見送られることなく、にやつき顔の幸せ気分で帰宅しました。
文楽祭『菅原伝授手習鑑 車引の段』『寺子屋の段ー天地会ー』国立劇場

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