十二月大歌舞伎 第三部『猩々』『天守物語』歌舞伎座

十二月大歌舞伎 第三部『猩々』『天守物語』歌舞伎座
歌舞伎座で「十二月大歌舞伎 第三部」を拝見しました。歌舞伎見納めですが、相応しい素敵な舞台でした。1本目は大好きな松羽目物の『猩々』です。

配役
猩々:尾上松緑(音羽屋)
酒売り:中村種之助(播磨屋)
猩々:中村勘九郎(中村屋)

20分程と短い舞踏劇ですが、酒を楽しむ猩々2人の戯れが楽しい。丸めな松緑さんも可愛らしいですが、やはり身のこなしが軽やかな勘九郎さんに目が行ってしまう。ちょこちょこした足捌き、最後の花道での横歩きも素敵。

2本目は泉鏡花作の戯曲『天守物語』、初めて見る演目、今年4月以来の玉三郎さん、楽しみです。

配役
富姫:中村七之助(中村屋)
姫川図書之助:中村虎之介(成駒家)
舌長姥/近江之丞桃六:中村勘九郎(中村屋)
薄:上村吉弥(美吉屋)
小田原修理:片岡亀蔵(松島屋)
朱の盤坊:中村獅童(萬屋)
亀姫:坂東玉三郎(大和屋)

童たちの「通りゃんせ」から、秋の草花を釣る腰元たちと幻想的な風景が続く。吉弥さんのきりりとした美しさはありながらも無邪気な雰囲気、好きだわ。芸の継承を考えると当然ですが、富姫と亀姫の配役逆だろと思ったのも束の間、玉三郎さんの、夢の世界に住んでいるような亀姫が自然かつ幽玄で驚愕。本当の化け物だわ。人間世界としては不自然な泉鏡花の台詞もやばい。先ほどの猩々の戯れも良かったですが、富姫亀姫の戯れに悶絶。途中の獅童さんは、一部の勢いはどこへやら。ボロボンボロボン、やや上滑り気味か。そして、可愛らしいイメージのあった虎之介君の想定外の凛々しさが素敵。亀姫と比べると富姫の方が人間っぽさを感じるが、だからこそ人間に惹かれるのか。そして猩々、舌長姥、近江之丞桃六と3役をこなす勘九郎さんの達者さよ。戦は続けど、ずっとあり続きて欲しい天守の非現実的な世界、今年最後に相応しい幸せな演目でした、

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