六月大歌舞伎 昼の部『上州土産百両首』『義経千本桜』『妹背山婦女庭訓』歌舞伎座

歌舞伎座で「六月大歌舞伎 昼の部」を拝見しました。1本目は『上州土産百両首(じょうしゅうみやげひゃくりょうくび)』、オー・ヘンリーの短編小説『二十年後』を下敷きにした1933年初演(昭和8年)新作。桂南光師匠の落語で一度聞いたことがあるのを思い出しました。

配役
正太郎:中村獅童(萬屋)
牙次郎:尾上菊之助(音羽屋)
宇兵衛娘おそで:中村米吉(播磨屋)
みぐるみ三次:中村隼人(萬屋)
亭主宇兵衛:松本錦吾(高麗屋)
勘次女房おせき:市村萬次郎(橘屋)
金的の与一:中村錦之助(萬屋)
隼の勘次:中村歌六(播磨屋)

幕開き、錦之助さんと隼人君、親子水入らずでの演技が意外に新鮮。後半の正太郎との対決の場面、悪役の演技、台詞回しがとても上手くなった気がする。米吉君の登場は少なめ、与一親分、隼の勘次と男気に溢れる人物が多いだけに、三次の外道っぷりが際立ちます。そして正太郎のドジな親友「あじゃがじ」こと牙次郎を演じた菊之助さんが素晴らしい。化粧でこんな三枚目に仕上がるものかと驚きました。切ない話ですが、獅童さんと菊之助さんのこの感じは、12月再演予定の『あらしのよるに』を想像させるもの良きかな。

2本めは長唄連中による所作事『義経千本桜 時鳥花有里(ほととぎすはなあるさと)』です。

配役
源義経:中村又五郎(播磨屋)
傀儡師種吉:中村種之助(播磨屋)
鷲尾三郎:松本染五郎(高麗屋)
白拍子伏屋:尾上左近(音羽屋)
白拍子帚木:中村児太郎(成駒屋)
白拍子園原:中村米吉(播磨屋)
白拍子三芳野:片岡孝太郎(松嶋屋)

2年前の「四月大歌舞伎」では傀儡子は又五郎さんでしたが、今回は息子の種之助君。颯爽とキレのある踊りが良い。左近君の初々しい美しさが眩しい。孝太郎さんの存在感も素敵、雅で楽しい舞踏劇。

3本目は『妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)三笠山御殿』。

配役
杉酒屋娘お三輪:中村梅枝改め時蔵(萬屋)
漁師鱶七実は金輪五郎今国:尾上松緑(音羽屋)
入鹿妹橘姫:中村七之助(中村屋)
おむらの娘おひろ:中村梅枝(萬屋)
官女桐の局:中村隼人(萬屋)
官女菊の局:中村種之助(播磨屋)
官女芦の局:中村萬太郎(萬屋)
官女萩の局:中村歌昇(播磨屋)
官女桂の局:中村獅童(萬屋)
官女柏の局:中村錦之助(萬屋)
官女桜の局:中村又五郎(播磨屋)
官女梅の局:中村歌六(播磨屋)
烏帽子折求女実は藤原淡海:中村時蔵改め萬壽(萬屋)
豆腐買おむら:片岡仁左衛門(松嶋屋)

橘姫が御殿に帰ってくるところから。えらく幼く見えるのは鬘の被り方で額を狭くしているからか。お三輪が豆腐屋おむらにいい男の行方を尋ねるところから襲名披露口上へ。新時蔵さんの長男、小川大晴君の口上も8歳と思えないほどしっかりしている。珍しい女形によりさらに増したように思える仁左衛門さんの作る大らかな雰囲気がステキ過ぎる。お三輪を虐める官女連中(小川家)が頗る豪華、こういう場面の獅童さんは良いも悪いも目立つ。しかしながら虐め場面は見ていて気持ち良いものではありませんが、一途なお三輪の悲しそうな表情が素晴らしく、グッと来ます。そして急用のため、ここで退座。一番良いところが見られず残念でした。。。ちなみに萬屋の屋号は新しく1971年から、初代中村錦之助ら小川家一門が播磨屋から独立するかたちで名乗りはじめたそうです。

    
    
   
    
    

    

    
    
    
    
    
    
    

    
    
    
    
    
    
    
    

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