歌舞伎座で七月大歌舞伎 夜の部『裏表太閤記(うらおもてたいこうき)千成瓢薫風聚光(せんなりびょうたんはためくいさおし)』を拝見しました。
配役
豊臣秀吉/鈴木喜多頭重成/孫悟空:松本幸四郎(高麗屋)
明智光秀/前田利家:尾上松也(音羽屋)
織田信忠/加藤清正:坂東巳之助(大和屋)
光秀妹お通/毛利輝元:尾上右近(音羽屋)
鈴木孫市/宇喜多秀家:市川染五郎(高麗屋)
服部弥兵衛:大谷廣太郎(明石屋)
十河軍平/天帝:市川猿弥(澤瀉屋)
重成妻関の谷:市川笑也(澤瀉屋)
重成母浅路:市川笑三郎(澤瀉屋)
出井寿太郎:市川寿猿(澤瀉屋)
僧日計実は四王天但馬/猪八戒:市川青虎(澤瀉屋)
沙悟浄:市川九團次(高島屋)
多喜川一益:松本錦吾(高麗屋)
織田信長:坂東彦三郎(音羽屋)
天帝大后:市川門之助(瀧乃屋)
淀殿:市川高麗蔵(高麗屋)
松永弾正/徳川家康:市川中車(澤瀉屋)
北政所:中村雀右衛門(京屋)
大綿津見神:松本白鸚(高麗屋)
市川猿翁(当時三代目猿之助)により昭和56年の初演、43年ぶりとなる再演だそう。一幕目、「第一場 信貴山弾正館の場」は光秀の親である松永弾正が反逆からの切腹、設定が面白い。「第二場 本能寺の場」は「ときは今 あめが下知る 五月かな」明智光秀役の松也さんの抑えきれていない怒りと憎しみの表情が良い。「第四場 同山中の場」は腰元役の中村芝のぶさん、大概へなちょこに描かれる織田信忠が強くて心も男前なのが意外、そして子供を薙刀で怪しながら戦うお通の凛々しさ。二幕目は澤瀉屋の活躍が素敵、「第一場 備中高松塞の場」の最初の寿猿さんの落語的なボケが楽しい。シリアスな場面での笑也さん、笑三郎さんコンビの安定感。幸四郎さんのお声はやっぱり優しく、秀吉のニンとは少し違う気も。「第五場 道中の場」、海上にて、重鎮は最後は神になる。確かに有り難さは変わらない。空飛ぶ船という漫画的な発想が素晴らしい。「第六場 大津坂本大滝の場」は、2階の東西席からも四天王の2人が登場するサービスが3階席客には嬉しい。本水を使った滝は勢いが強くて、死闘を繰り広げているはずの3人がやけに楽しそうに見える。首がもげそうになりながら滝の重圧に耐える幸四郎さんに爆笑。流石です。三幕目はいきなり西遊記の世界、幸四郎さんの動けてなさに少し動揺、疲れのせい?鯨を頭に乗せた天帝の部下が可愛い。青虎君の宙乗りは楽しく、左團次さんの飛び六方も嬉しいが、宙乗りはともかく六方での手拍子はかなり違和感。最後は『太閤三番叟(五人三番叟)』、高麗蔵さんの淀殿が何気にお美しい。若手4人+ベテラン1人の三番叟が眼福、右近君の動きは良くも悪くも目立っており、所作台を踏む音が心地良し。やはり中心に幸四郎さんがいるのが良いのでしょう。猿翁、猿之助さんのための演目と感じられましたが、幸四郎さんと猿之助さんとの絆を感じる舞台でした。
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