
歌舞伎座で「團菊祭五月大歌舞伎 昼の部」を拝見しました。1本目は『寿式三番叟』です。
配役
三番叟:尾上松也(音羽屋)
三番叟:中村歌昇(播磨屋)
三番叟:中村萬太郎(萬屋)
三番叟:尾上右近(音羽屋)
三番叟:中村種之助(播磨屋)
附千歳:中村米吉(播磨屋)
千歳:中村雀右衛門(京屋)
翁:中村又五郎(播磨屋)
お能や文楽とはまた雰囲気が異なる義太夫節によるカジュアルな三番叟。千歳の二人舞、面を付けない翁の舞から最後の五人三番叟は既視感あるなと思ったら昨年7月に拝見した『太閤三番叟』と似た雰囲気。踏み締める足音にドキドキ、種之助君と右近君が良い感じ。踊りはそこまで上手くはなさそうですが、魅せ方を心得ている松也さんも流石な勢いよく見応えのある一幕。
2本目は『勧進帳』です。
配役
武蔵坊弁慶:市川團十郎(成田屋)
富樫左衛門:尾上菊之助改め八代目菊五郎(音羽屋)
亀井六郎:尾上松也(音羽屋)
片岡八郎:尾上右近(音羽屋)
駿河次郎:中村鷹之資(天王寺屋)
常陸坊海尊:市川男女蔵(滝野屋)
源義経:中村梅玉(高砂屋)
後見:市川右團次(高嶋屋)
豪華な配役ではありますが、誰の弁慶冨樫で見ても面白さがいまいちわからない演目。何がそこまで人を惹きつけるのか。
3本目は『三人吉三巴白浪(さんにんきちさともえのしらなみ)大川端庚申塚の場』。
配役
お嬢吉三:中村時蔵(萬屋)
お坊吉三:坂東彦三郎(音羽屋)
夜鷹おとせ:中村莟玉(高砂屋)
和尚吉三:中村錦之助(萬屋)
勧進帳と違って面白く感じる三人吉三、散々な目に合わされる莟玉おとせが可愛く眼福。時蔵さんのための舞台で、名台詞も良い感じ。最後に悠々と上手に向かう三人吉三が格好良く、行く末は切ない。
最後は楽しみな『京鹿子娘道成寺(きょうかのこむすめどうじょうじ)』です。
配役
白拍子花子:尾上菊之助改め八代目菊五郎(音羽屋)
白拍子花子:尾上丑之助改め菊之助(音羽屋)
所化:大谷友右衛門(明石屋)
同:中村萬次郎(橘屋)
同:河原崎権十郎(山崎屋)
同:市川門之助(瀧乃屋)
同:坂東彦三郎(音羽屋)
同:坂東亀蔵(音羽屋)
同:市村竹松(橘屋)
同:中村新悟(大和屋)
同:大谷廣太郎(明石屋)
同:中村児太郎(成駒屋)
同:大谷廣松(明石屋)
同:中村光(成駒屋)
同:市川男寅(瀧野屋)
同:中村玉太郎(加賀屋)
同:中村歌女之丞(成駒屋)
同:中村吉之丞(播磨屋)
白拍子花子:坂東玉三郎(大和屋)
所化連中が無駄に豪華なのが嬉しく、上のお三方が貫禄あり過ぎて笑える。緋毛氈の上で若手が正座しているのは修行の雰囲気。物語としては三人なのは意味不明ですが、おめでたいので問題無し。短いながらも後半の玉三郎さんの一人舞が有難い。呼吸をされるような一切の無理無駄を感じない舞は絶品。菊五郎さんは当然として、菊之助君は堂々としており、振出し傘の扱いは少し大変そうでしたが、しっかり踊れているのに驚く。子供らしくない表情と鋭い目線に背筋が凍る。歌詞の意味とか理解しているのだろうか。理解していても、していなくても凄い。今月夜の部、来月の「六月大歌舞伎」、そして今後がとても楽しみな六代目尾上菊之助丈です。

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