10年ほど前に直島の李禹煥美術館で感動した李禹煥の回顧展を国立新美術館開館で拝見しました。
会場一番初めに展示されているのが「風景I」、フューシャ、オレンジ、ピンクの蛍光塗料で塗りつぶされた大きなカンバス、三方に囲まれた作品。見ていると目がチカチカしてくるのですが、自分の普段感じている色がどれだけ曖昧かを突きつけられる。面白い。「現象と知覚B 改題 関係項」は割れた鏡の上に高さ60cmの石が置かれた作品。鏡を割るという行為には暴力的なものを感じますが、なんでこの状態になった?と考えさせる。単に地面に置かれた鏡の上に石が落ちただけでは、こうはなるまいに。「関係項 別題 言葉」は、赤い座布団の上に高さ50cmの石が置かれ、壁にはライトが照らされた作品。座布団と光のせいか仏教的な概念を連想させます。「関係項−サイレンス」は壁に掛けれた鉄板の前に高さ70cmの石が置かれた作品。作品名から鉄板が石に倒れたら、全くサイレンスではないと想像、鉄と石の間に入ると頭がぐぁんぐぁんする妙な感覚に襲われます。「関係項−彼と彼女」は、高さ70cmの石の前に石の方向だけ、少しめくれ上がった鉄板が置かれた作品で、直接的なエロさを感じます。「項」は切り抜かれた鉄板の枠が壁に掛けられ、地面に鉄板、その上に高さ57cmの石が置かれた作品、枠と地面に置かれた鉄板の切り口は一致する。石が2片の鉄の関係を蝕んでいると思ったのですが、石は鉄板の中央に置かれているので、鉄板を合体させることはできるのですが、すごい抑圧を感じるから不思議。
立体作品はとても良かったのですが、後半に展示されていた「点より」「風と共に」「応答」などの作品は全く響かず。しかしながら、久しぶりの美術館、空いていたこともあり、ゆったりした時間を過ごせました。
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