4ヶ月振りに深川江戸資料館で「柳家権太楼独演会」を拝見しました。その前に銀座のバーテンダーの方に教えてもらった居酒屋「紺青」で一杯やろうと思ったら満席。。。2階に姉妹店「和酒 鴇鼠(ときねず)」があったので、そちらで「鷹来屋」「淡墨桜 ひやおろし」熱燗をいただきながら、湯豆腐、アジフライなどを摘んで良いコンディションで落語を楽しむことができました。
開口一番:桃月庵あられ「金明竹」
桃月庵白酒師匠のお弟子さん。さん光さんもおっしゃっていましたが、前座でこの落ち着き、ふてぶてしさは凄まじい。しかし前座の落語じゃないですね。大変よく回転する口に思わず拍手。髪型言葉の「おいえはん」を「オーイエーアハーン」と聞き間違えるのは爆笑。問題を起こさなければ間違いなく出世するでしょうね。楽しみ。
柳家権太楼「富久」
富くじを扱う落語は多いですが「富久(富の久蔵)」は初めて聞きました。太鼓持ちの久蔵の家が浅草、商店を芝に設定していましたが、この遠い距離を超越するナンセンスな設定なのだとか。火事の中、久蔵が葛篭、火鉢、小手、瓢箪を風呂敷で運び出そうとする件は、小三治師匠の「粗忽の釘」が連想されました。高難易度な落語かと感じましたが、笑わせていただきました。下げは「大神宮様のおかげでございますんで、町内をおはらいして参ります」
柳家さん光「新聞記事」
柳家権之助、春風亭一之輔に似ていると言われるが一番言われて嬉しいのは星野源さんだとか。小三治師匠に唯一言われた言葉「頭薄いな」に一番爆笑!
柳家権太楼「笠碁」
1本目で、最初に小三治師匠の話すると「私の心が折れますんで‥」とおっしゃっていましたが、後半はたっぷり。そもそも小三治師匠に憧れて、落語家になったのだとか。浅草演芸場の楽屋で小三治師匠と無言で過ごした30年、ゴルフに行くドライブの途中で「お前くらい我が儘な奴を見たことがない」と言われたこと。心から尊敬されていたことがじわじわと深く、染み渡ります。
そこからの柳家の伝統落語「笠碁」は泣いちゃうよ〜。人情噺ではありますが「笠碁」で泣くとは思いませんでした。小三治師匠と権太楼師匠、2人の信頼関係が重なってずるいよ〜。そして「笠碁」でこんなに爆笑させられるとは。。。口をとんがらがしたり、頬っぺた膨らましたり顔芸が最高。2人の登場事物の人物描写が的確、笠を被って雨の中やってきた男を見つけた瞬間の嬉しそうな顔ったらない。碁を打つ音で呼び出すなんて最高、聞かされた方もビンビンに感じちゃってるし。今まで最後の笠から雨がぽたぽた落ちるのを雨漏りと勘違いするのは不自然かと思っていたのですが、全く自然でした。笠の存在なんて忘れるくらい2人の嬉しさが爆発してましたね。素晴らしい。
次回の深川江戸資料館での独演会は未定なのが残念ですが、また必ず、人は誰でもいつかはいなくなりますから。そして10月25日の国立演芸場の国立名人会、小三治師匠の代演はやはり三三さんか。また泣いちゃうかもしれません。
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