「フォーシーズンズホテル丸の内 東京」に2021年6月オープンしたフレンチ「セザン(SÉZANNE)」でランチをいただきました。エグゼクティブシェフはイギリス人のダニエル・カルバート、存じ上げませんでしたが、ニューヨーク「パ・セ」やパリ「エピキュール/ル・ブリストル」という3つ星レストランで修行後、香港のビストロ「ベロン」のヘッドシェフに就任。ミシュランガイド1つ星獲得、「アジアのベストレストラン50」第4位にランクインするなど凄い方のようです。
「ラディブール」
ラディッシュ、ハーブバターを合わせたフィンガーフード。シャープなラディッシュとまろやかなバターの組み合わせ、シンプルではありますが、見た目も素敵で、輝きを感じる小品。
「48ヶ月熟成コンテチーズのグジェール」
フレンチでよく出るシュー生地ですが、これも味が濃くて旨い。どこでも出る料理が美味しいと期待が高まります。
「北海道産とうもろこしのサワードウ、ノルマンディーバター」
パンも素晴らしい。外側は極ハード、中はしっとりもっちりで酸味が心地良し。ボルディエのバターも美味しく、普段バターを使いませんが、沢山いただいてしまいました。
「ツァーインペリアル オシェトラキャビア、アボカドと酢橘」
鰹出汁、中のトルティーヤの食感がアクセント。アボカドは苦手食材の1つですが、これも旨い。塩気が強くないキャビアとのバランスが最高ですね。
「エアルームトマトタルト、ガーデンバジルとプラッターチーズ」
あれ、もうデザート?と思ったら食事系タルトでした。エアルームとは固定種、在来種、原種、伝統の意味だそう。
プラッターチーズとオリーブオイルのソースを掛けて出来上がり。オリーブオイルの香りを残すため、敢えて乳化はさせていない。
ズッキーニ、トウモロコシも入っていますが、トマトの存在感強め、ソースでタルトの食感が損なわれるのはもったいない気もしますが、おそらくトマトを強調するためでしょう。
「有明山農場美膳軍鶏」
モリーユ茸、イエローワインに着けた長野産の軍鶏。
「有明山農場美膳軍鶏のポシェ、ヴァン・ジョーヌ、杏茸」
鶏ガラを使ったトリプルコンソメソースを掛けて出来上がり。ソースはあえてアルコール感を残し、香港で活躍されていたためか中華っぽい印象、煮込むという調理法も面白く個性のある一皿。軍鶏の皮下にはマッシュルームやジロール茸のペースト。色白の鶏肉が美しく、しっとりとした仕上げ方、軍鶏は力強さが先行する印象ですが、優しさの中に力強さを感じる重層的味わいが素敵。ソースも飲めるな。
「タリアテッレ、オーストラリア産黒トリュフ」
パルメザンチーズとトリュフを合わせたパスタは、香りが素晴らしい。黒トリュフのザクザクした食感を残しているのが、とても好感が持てます。
「白糠鹿肉、秋田県産クロスグリソース」
北海道白糠の蝦夷鹿、鹿肉ソーセージには胡桃とグリーンピースを合わせて。ソースは甘味と酸味で輪郭を強く感じるもので個性を感じます。火入れも美しく、ボリュームも満足。さらにソースに合わせて白っぽいサワードウも提供、ソースもおい掛けも可能で嬉しくなります。ソースはフレンチの最重要要素です!
「巨峰、バジルとシャンパン」
下にマスカルポーネクリームと一手間が嬉しい。
「宮崎県産マンゴー、ショートブレッド、クレームシャンティ」
スコットランドの伝統菓子ショートブレッドを使ったクリーム、マンゴーはライムの香りを添えて。マンゴーも上にフレッシュ、メレンゲを挟んで下にマンゴーゼリー。香りの重ね方も上品です。
ミニャルディーズ「サントノーレ、ブラウニー」
ピスタチオのサントノーレ、ミニャルディーズもなんと三連発。
「ラベンダーのマドレーヌ」
「クレームブリュレ」
上にカラメルの蓋、中のクリームは味わいが強くて美味。さらにお土産としてブリオッシュをいただきました。料理の提供は遅めで3時間ほどかかりましたが、内容は素晴らしかった。盛り付け、素材の合わせ方を見ても非常に感度の高い方なのでしょう。イノベーティブ・フュージョンな雰囲気もありますが、しっかりフレンチとして構成、最近たまに遭遇する見た目だけのチャラい料理(人)とは一線を画します。理知的でスキルフル、そして謙虚さも感じられる料理はとても好みで印象的でした。また季節を変えてお伺いしたいです。ごちそうさまでした。
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