十二月大歌舞伎 第二部『男女道成寺』『ぢいさんばあさん』歌舞伎座


歌舞伎座で「十二月大歌舞伎 第二部」を拝見しました。まずは定番舞踏劇『男女道成寺』から。

配役
白拍子花子:中村勘九郎(中村屋)
白拍子桜子実は狂言師左近:尾上右近(音羽屋)
強力不動坊:市村橘太郎(橘屋)
同普文坊:中村吉之丞(播磨屋)

勘九郎さんと右近君は逆でも良い気がしましたが、やはり役の位は花子の方が上だからでしょうか。今回はおおまかに詞章も頭に入れていたので、いつもより楽しめました!手毬歌で翻弄された所化2人の後、三味線のチンチリレンの合方も愉快です。「恋の手習いつ見習いて‥」から手拭いを使った「くどき」の場面では、狂言師左近がおかめ、お大尽、ひょっとこの3面を使い分け、通常しんみりする場面ですがコミカルに。鞨鼓を使った「山づくし」は途中から二人舞に、稲荷山の狐でドロドロ、怪しげなムード。最後は鈴太鼓を使った賑やかな「田植歌」へ。しかし勘九郎さんは男にしか見えん。歌詞が理解できるとより面白い舞踏劇です。

花の外には松ばかり 花の外には松ばかり
暮れ染めて鐘や響くらん

鐘に恨は数々ござる 初夜の鐘を撞く時は 諸行無常と響くなり
後夜の鐘を撞く時は 是生滅法と響くなり
晨鐘の響は生滅滅為 入相は寂滅為楽と響くなり 聞いて驚く人もなし
我も後生の雲晴て 真如の月を詠め明さん

言はず語らぬ我が心 乱し髪の乱るも つれないは唯移り気な どうでも男は悪性者

恋の別里 武士も道具をふせ編笠で 張と意気地の吉原
花の都は歌で和らぐ敷島原に 勤めする身は誰と伏見の墨染
煩悩菩提の撞木町より 浪花四筋に通い木辻に 禿立から室の早咲 それがほんに色ぢや
一イ二ウ三イ四ウ 夜露雪の日 下の関路も 共に此身を馴染重ねて 仲は丸山ただ丸かれと 思染めたが縁じやへ

恋の手習いつ見習いて 誰に見しよとて紅鉄漿つきよぞ
みんな主への心中立て おお嬉しおお嬉し
末は斯うじやに 然うなるまでは とんと言はずに済まそぞへと
誓紙さへ偽か嘘か誠か どうもならぬ程逢ひに来た ふつつり悋気せまいぞと たしなんで見ても情けなや
女子には何がなる 殿御殿御の気が知れぬ気が知れぬ 悪性な悪性な気が知れぬ 恨み恨みてかこち泣
露を含みし桜花、さわらば落ちん風情なり

面白や四季の眺や 三国一の不二の山
雪かと見れば花の吹雪か吉野山 散りくる散りくる嵐山
朝日山山を見渡せば 歌の中山石山の、末の松山いつか大江山
いくのの道の遠けれど 恋路に通う浅間山 ひと夜の情け有馬山
いなせの言の葉あすか木曽山待乳山 我が三上山祈り北山稲荷山

花に心を深見草 園に色よく咲初て 紅をさすが品よく姿よく ああ姿優しやしおらしや
さぁさぁそふじやいなそうじやいなさぁさぁそふじやいなそうじやいな
五月五月雨早乙女早乙女 田植唄早乙女早乙女田植唄 裾や袂を濡したさっさ

花の姿の乱れ髪 思えば思えば恨めしやとて
龍頭に手をかけ飛よと見へしが 引き被いでぞ失せにける

二幕目は『ぢいさんばあさん』、森鷗外原作の新作歌舞伎です。

配役
美濃部伊織:中村勘九郎(中村屋)
下嶋甚右衛門:坂東彦三郎(音羽屋)
宮重久右衛門:中村歌昇(播磨屋)
宮重久弥:尾上右近(音羽屋)
久弥妻きく:中村鶴松(中村屋)
山田恵助:中村吉之丞(播磨屋)
柳原小兵衛:坂東亀蔵(音羽屋)
伊織妻るん:尾上菊之助(音羽屋)

勘九郎さんと菊之助さんの夫婦役が新鮮、蚊に刺された後だのホクロだの、若い時のいちゃつき振りに、照れる歌昇君が面白い。近い近い!伊織が「いい奴だが、ただしつこい」と評するように、彦三郎さん演じる下嶋は、ただただしつこい嫌な奴ですが、あの場面で殺っちゃうのは、義弟に劣らず短気では。時間は一気に37年、右近君と鶴松君の夫婦もぴったりで仲良しでが、とても良い振りになっている。『夕顔棚』とかもそうですが、仲良しのお爺ちゃんお婆ちゃんが出てくるだけの演目はやばいよ。存在だけで泣きそうになる。伊織の変貌ぶりは凄いが、るんは若い時の面影けっこうあるのに気付かない伊織。歩幅も短く、石段を登るのも少し苦労する描写も笑いを誘う。別れ別れなのは辛いですが、それを除けば充実した人生だったよう。再会の場面は場内からすすり泣きの音も。年はとっても気品のあるるん(伊織がくっつけた座布団を再び離すのが笑える)、ユーモアたっぷり愛されキャラの伊織、とっても素敵な2人です。最後はるんるんるんって感じで、とても前向きな話。当時より現代こそ、色んな方が見ればよいのに、と思う幸せになれる演目で、しみじみ、しみじみ良い、思い出して、いつでも、いついつまでもニヤニヤできる。再来週の第3部も楽しみにしています!

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