壽 初春大歌舞伎 第三部『十六夜清心』歌舞伎座


歌舞伎座で「壽 初春大歌舞伎 第三部」通し狂言 『花街模様薊色縫 十六夜清心(さともようあざみのいろぬい いざよいせいしん)』を拝見しました。

配役
極楽寺所化清心後に鬼薊の清吉:松本幸四郎(高麗屋)
扇屋抱え十六夜後におさよ:中村七之助(中村屋)
恋塚求女:中村壱太郎(成駒屋)
下男杢助実は寺沢塔十郎:中村亀鶴(八幡屋)
佐五兵衛後に道心者西心:松本錦吾(高麗屋)
船頭三次:市川男女蔵(滝野屋)
白蓮女房お藤:市川高麗蔵(高麗屋)
俳諧師白蓮実は大寺正兵衛:中村梅玉(高砂屋)

序幕「稲瀬川百本杭の場」から。序盤がカットされているために唐突、浄瑠璃「梅柳中宵月(うめやなぎなかもよいづき)」は名曲だそうですが、清心と十六夜の緩慢な動きも合わさり眠気に襲われます。安政2年 (1856) に起った藤岡藤十郎の江戸城御金蔵破り事件を題材にしているので、幕府に気を使って隅田川を稲瀬川にしているのか。「同  川中白魚船の場」、梅玉さんの声が小さくて聞こえにくいですが、そこは雰囲気で。「百本杭川下の場」も、テンポがゆっくりで冗長、清心と求女の揉み合いも長く感じます。休憩挟んで二幕目「初瀬小路白蓮妾宅の場」 、十六夜は急に出家、清心に殺された求女は、実は十六夜に弟のようですが、関係性がとても不明瞭、大詰「雪の下白蓮本宅の場」は急にコメディタッチに、全くの別人のようになってしまった清心と十六夜が面白い。七之助さんの玉三郎さん感が凄いし、お腹の子供はどうなったんでしょう。最後は白蓮が実は清吉の兄で、下男杢助が捕手だったことが判明し、やはり唐突でした。七之助さんは美しく、幸四郎さんも綺麗なのですが、全体的に退屈。ただ時に背後に流れる長唄など情緒を感じられる演目、客入りが寂しいのも致し方なしか。。。「出ますよ…」「悪くねえな」、「殺したことを知ったのはお月様とおればかり……一人殺すも千人殺すも、取られる首はたった一つ」とか名台詞も多いので、もう少し現代風にアレンジしたら、かなり面白くなりそうな演目では。来月の「二月大歌舞伎」も楽しみにしております!

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