「秀山祭九月大歌舞伎 第一部」千穐楽を拝見しました。一本目は『白鷺城異聞(はくろじょうものがたり)』、松貫四(二世吉右衛門の筆名)構成・演出、姫路城で1999年に初演された新作歌舞伎だそうです。
配役
宮本武蔵:中村歌六(播磨屋)
本多平八郎忠刻:中村又五郎(播磨屋)
秀頼の霊:中村勘九郎(中村屋)
刑部姫:中村七之助(中村屋)
腰元白鷺:中村梅枝(萬屋)
腰元名月:中村米吉(播磨屋)
局明石:中村歌女之丞(成駒屋)
宮本三木之助:中村萬太郎(萬屋)
家老都築惣左衛門:中村錦之助(萬屋)
千姫:中村時蔵(萬屋)
歌六さんの武蔵はあまり想像できなかったけど、良い。動きはちょっとゆっくりですが、巌流島の戦いを語る場面も素敵。腰元は米吉君、梅枝君ですが、腰元連中の中に中村芝のぶさん発見。下手に米吉君、上手に芝のぶさんがいらっしゃり、中央への集中がおろそかになる事態に。腰元2人の酒の肴の舞も美しい、やっぱり梅枝君のが踊りは上手な気がしますが、滑らかなクネクネが少し気になるか。時蔵さんの振袖は体格が良過ぎてちょっと20代には見えん。。。又五郎さん、錦之介さん、萬太郎君は皆んな端正なイケメン武士顔。舞台は浄瑠璃、長唄、舞、立ち回りを盛り込んだ分かりやすいもの。千姫の具合が悪くなると妖怪軍団登場、舞台上の方々はそうでもないものの、天袋?でウネウネする妖怪2人が怖い。浅葱幕が落とされてからの後半は、勘九郎さん、七之助さんの見せ場。珍しい演目だけに、ちょっとテンポがもったりしているようですが、華のあるお2人の見事な盛り上げ。楽しい演目でしたが、生と死、平和へのメッセージが込められていたのには気が付きませんでした。。。
2本目は定番の『菅原伝授手習鑑 寺子屋』、松王丸と源蔵は交代制、千穐楽はしっくりくる組み合わせですが、本当は意外性のある逆バージョンが見てみたかったかも。
配役
松王丸:尾上松緑(音羽屋)
武部源蔵:松本幸四郎(高麗屋)
戸浪:中村児太郎(成駒屋)
菅秀才:初舞台種太郎(歌昇長男)
小太郎:初舞台秀乃介(歌昇次男)
春藤玄蕃:中村種之助(播磨屋)
百姓吾作:坂東彌十郎(大和屋)
涎くり与太郎:中村又五郎(播磨屋)
園生の前:中村東蔵(加賀屋)
千代:中村魁春(加賀屋)
前半の見所は、先ほど本多忠刻をビシッと演じていた又五郎さんの涎くり与太郎!しかも父吾作が彌十郎さん!同一人物とは思えない阿呆っぷり、歌舞伎役者は器用です。3年前に吉右衛門さんの松王丸を拝見して感動したものですが、全く違う松緑松王丸、咳き込む場面、無礼者目!と叫ぶ場面、けっこうな違和感が。。。そして3年前は何も思わなかったのに幸四郎さんの源蔵がコミカルに見えてしまうのは何故だろう。そんな中、松緑さんと年齢差あり過ぎな魁春さんの千代が良い!極限の状況で子供を身代わりに送り出したにもかかわらず、平常心を装い息子を迎えにくる姿に感銘を受けました。寺子屋、良くも悪くも歌舞伎の面白いさを感じる演目です。「芸術祭十月大歌舞伎」も楽しみにしております!
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